ファミマがコインランドリーの併設を計画、コンビニで洗濯も可能に

2017年11月29日 16:44

印刷

(c) 123rf

(c) 123rf[写真拡大]

 24日の日本経済新聞は、ファミリーマート(ファミマ)がコインランドリー併設店舗を推進することを報じている。19年度末までのおよそ1年程度の間に、500店舗にコインランドリーを併設するという。手軽に衣服や布団を洗濯できるコインランドリーの利点を訴えて集客し、待ち時間に店内の「イートイン」スペースの利用や、店舗内の回遊によって売り上げの増加につなげる目的だ。目的はズバリ、店舗の集客力向上である。

【こちらも】ファミマ、「忖度御膳」を12月1日発売! 具材は今年を締めくくる内容に?

 日本フランチャイズチェーン協会のまとめによると、コンビニの既存店来店客数は10月まで20カ月連続で前年割れが続いている。反面、既存店の売上高は、一人当たりの購入金額(客単価)上昇が奏功して、同期間では前年以上と前年割れが相半ばしている。コンビニの企業努力によって、来店客一人当たりの購入金額は増加したものの、肝心の来店客数が減少しているということである。

 新規出店による店舗競合の激化と、人口減少へ転換した日本の社会構造の変化が、今まで営業してきた店舗の売上を押し下げているのだ。店舗数をいくら積み上げても、個々の店舗の営業状態が悪化してしまうことは、フランチャイズの事業モデルにとっては致命的だ。販売商品で他のコンビニとの優位性をアピールすることも簡単ではない。

 そこで店舗で提供するサービスで差別化を図り、競合に競り勝とうとする動きが顕在化してきた。

 セブンイレブン・ジャパンは、自転車シェアリングサービスの貸し出しや返却の拠点として店舗を活用する方針を打ち出し、18年度末までに首都圏や地方都市の1,000店舗で5,000台のシェア自転車を設置する。ファミマのコインランドリーとセブンのシェア自転車のどちらが勝つのか興味をそそられる。ローソンも色々模索している様子は伝わってくるが、現在伝えられている介護相談の窓口などを併設した「ケアローソン」は、設置のスピード感やイメージの重たさもありメインではなさそうだ。いずれ集客効果抜群のサービス提供を発表するのかも知れない。

 少子高齢化という日本の社会構造の大変革は、コンビニのビジネスモデルにも大きな影響を及ぼし始めた。今や人手の確保を考慮しないで新たなビジネスプランは成り立たない。「いつでも開いてる」が売り物のコンビニですら、深夜営業のスタッフを確保することが困難な状況になっている。今後の新規出店ついては、コンビニごとに固有の判断があろうが、人手の確保が難しいというのは社会全体が抱える悩みであり、個々のコンビニが頑張れば克服できるような課題ではなくなりつつある。

 人々にとって、より「コンビニエンス」な店舗とはどうあるべきなのか?という難問の解明に向けて、コンビニ業界の挑戦は続く。(記事:矢牧滋夫・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事