関連記事
旭硝子、成長分野を強化してグローバル展開
旭硝子は9月25日、バイオ医薬品を生産する米国子会社CMCバイオロジックス社の生産能力を増強すると発表した。2月に600億円を投じて子会社としたCMCバイオロジックス社は、医薬品製造の中核として2025年までにライフサイエンス事業を1,000億円以上に拡大していくことが期待されている。
【こちらも】日立、中期計画で売上高10兆円に挑戦
旭硝子は、幕末の動乱期をくぐりぬけて三菱財閥を創業した岩崎弥太郎の甥、岩崎俊哉が板ガラスの国産化を目指し1907年に創業した。創業100周年を迎えた2007年にはグループブランドを「AGC」に統一し、さらに2018年7月にはグローバル企業として社名を「AGC株式会社」に改める予定である。
世界シェアNO.1のガラスメーカーとして、ライフサイエンスなど新成長分野を強化しさらなる飛躍を目指す旭硝子の動きを見てみよう。
■前期(2016年12月期)実績
前期売上高は1兆2,826億円(前年比97%)、営業利益は963億円(同135%)であった。海外比率70%の中、前年に比較しての大幅な円高(1ドル121.1→108.8円、1ユーロ134.3→120.3円)により、売上高で978億円、営業利益で307億円減少したが、営業利益では原燃材料である原油価格の前年からの低下(1バレル50.9→41.5ドル)による300億円の増益によりカバーできた。
■今期(2017年12月期)通期見通しの上方修正と今後の進め方
上半期の好調を受けて売上高は当初計画比1,000億円増の1兆4,500億円(同113%)、営業利益は当初計画比100億円増の1,150億円(同119%)に上方修正した。ガラス分野は建築用・自動車用ガラスが堅調、電子分野はディスプレイ用特殊ガラスや電子部材の拡大、化学品分野では買収企業による連結効果が好調の原因である。
為替は1ドル110円、1ユーロ120円とほぼ前期並みで、原油価格は上昇傾向を加味して1バレル50.7ドルで計画している。
今後の進め方としては、下記の通り拡大が期待できる戦略事業を強化し、世界的に既存コア事業への成長投資を継続、株主還元を図る方針である。
1.戦略事業の強化
・モビリティ分野:車載ディスプレイカバー用ガラスの拡大と次世代通信アンテナ、エコカーへの部材提供推進。
・エレクトロニクス分野:半導体向けEUVフランクスなど次世代製品の事業拡大。
・ライフサイエンス分野:ドイツのバイオミーバ社とアメリカのCMCバイオロジック社の買収によりバイオ医薬品開発受託事業のグローバル展開。
2.既存コア事業への成長投資
タイの化学品ビニタイ社とポーランドの自動車ガラスノードガラス社を買収。中国・タイ・インドネシア・ベトナム・サウジアラビア・メキシコ各工場への拡充投資。
3.株主還元
自己株取得を含めた連結総還元性向を50%以上にする。
ガラス、電子、化学、セラミックスの技術基盤の上で、グローバルな成長を目指す旭硝子を今後も見守りたい。(記事:市浩只義・記事一覧を見る)
スポンサードリンク