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北朝鮮問題の地政学的リスク高まる 9月5日のドル円為替
北朝鮮が6回目の核実験を実施した。つい先日に試射したミサイルが日本列島を横断し、太平洋に落下したばかりのタイミングである。あまりに挑発的で大胆な行動だ。しかも今回は水爆の開発にも成功したという報道もあり、より危険度が増している。そのため、今週は週明けから地政学的リスクを警戒した円買いドル売りになっている。
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9月4日(すべて日本時間)は7:00時点で1ドル109円59銭と、先週発表され不調だった8月雇用統計発表直後のラインまでドルは急落した。その後に買い戻しの動きもあったが、15:30ごろには1ドル109円38銭の下値をつけている。反発して戻すもまたドルが売られるという繰り返しだった。
朝鮮半島の地政学的リスクは急激に高まっている。トランプ大統領は今回の北朝鮮の核実験に対して石油禁輸措置に触れた。日本も毎度のことながら米国に同調し激しく抗議している。中国のスタンスは相変わらず一定の圧力をかける抗議の続行だ。ロシアは外交交渉での解決をしきりに呼びかけている。大国の足並みはそろってはいない。
9月9日は北朝鮮の建国記念日だ。北朝鮮は次にICBM再発射の準備を行っているという報道もあり、韓国の文在寅大統領もTHADDを早い段階で配備すると発表した。米国は原子力空母、戦略爆撃機の派遣を協議中だ。マティス国務長官は大規模な軍事措置をとる可能性を示唆した。地政学的リスクはさらに高まっているといえるだろう。9月5日0:00ごろは1ドル109円49銭、8:50ごろには1ドル109円83銭までドルは戻したが、こちらは仲値に向けた買いが入ったためで、10:00には1ドル109円48銭まで再びドルは売られている。
今週は米国が税制改革案の成立に向けて本格的に始動すると期待されていたが、朝鮮半島リスクが落ち着かない限りドルの上値は限定的になってくる。本日も重要な経済指標の発表はない。FRB高官のコメントが年内の追加利上げやバランスシート縮小の9月開始を示唆してくれるとドル買いの材料となるだろう。一番注目すべきは北朝鮮の動きと米国の動きになってくる。常に警戒が必要だ。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る)
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