北朝鮮の地政学リスク再燃でリスクオフの流れ、8月9日のドル円為替

2017年8月9日 09:54

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 1ドル111円台突破が見えてきた8月2週目のスタートだったが、雲行きが怪しくなってきている。朝鮮半島を巡る地政学リスクが高まってきているのだ。そのため市場はドル安に動いてきており、1ドル110円を割り込むところまで下値をつけている。

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 8月8日は7月雇用統計の好調ぶりから9:00(すべて日本時間)ごろには1ドル110円81銭をつけた。その後はドル売りの時間帯が続き、21:30には1ドル110円25銭まで下がったが、23:00に発表された6月JOLT求人件数によってドル買いに転じることになる。前回が570.2万件に対して、今回は616.3万件という統計開始以降最高値だったからだ。事前予想も575.0万件であった。やはり労働市場は確実に改善されており、この結果によって12月の追加利上げ観測も高まっている。日付の変わった8月9日0:00ごろには1ドル110円83銭の上値をつけた。ドル買い・売りの材料にほとんどならない求人労働移動調査が市場に影響を与えるのは珍しい。それだけポジティブサプライズだったということである。

 しかし朝鮮半島問題がこの状況を一変させる。北朝鮮が弾道ミサイルに搭載可能な小型核弾頭の開発技術を持っているという報道によって、市場はリスクオフの動きとなった。さらに北朝鮮が中距離ミサイルでグアムへの攻撃も検討しているというショッキングなニュースも飛び込んできた。朝鮮中央通信が報じたものだ。武力衝突の危険性が高まっている。ドル売りは加速し、9日8:30ごろには1ドル110円06銭の下値をつけた。今後の行方次第では大きな変動もあり得るので警戒が必要である。

 本日は21:30に第2四半期非農業部門労働生産性の速報値が発表される。23:00には6月卸売在庫、23:30には週間原油在庫の発表となる。好調な経済指標を示してくれることが期待されるが、ロシアゲート疑惑を含む数々のリスクが依然としてそのままであり、上値は限定的であろう。地政学リスクがこれ以上高まらないことを願いたい。(記事:ろひもと理穂・記事一覧を見る

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