ビットコインが国家通貨になることで、経済が崩壊する

2017年7月10日 21:20

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記事提供元:フィスコ


*21:20JST ビットコインが国家通貨になることで、経済が崩壊する
ビットコインを国の通貨として採用することで、経済崩壊につながる可能性があると中国中央銀行の元関係者で、現在中央銀行のアドバイザーを務める専門家は言う。
中国人民銀行PBoCのカウンセラーであるShengSongcheng氏は、ビットコインのようなデジタル通貨を正当な通貨の価値基準に欠けている資産として非難した。
Sheng氏は、金融業界の主要な出版社”Yicai”とのインタビューで、デジタル通貨のデフレの性質は、現代経済における通貨や交換手段としてはうまく機能しないことを意味するとさらに指摘した。
「ビットコインは、複雑なアルゴリズムによって生成されたコードが一連したものであり、固有の価値を持っていません…」とSheng氏は言い、デジタル通貨のバーチャル性が最も重要な特徴であると付け加えた。
中国人民銀行統計研究部(DepartmentofStatisticsandResearch)の局長であったSheng氏は、1990年代に上海財経大学(ShanghaiUniversityofFinanceandEconomics)から経済学博士号を取得しており、現在、上海のビジネススクールで経済学と金融学の教授である。
また、彼は次のように言う
「ビットコインは2140年に2100万の上限に達するだろう。もしビットコインを標準的な資金として受け入れられるなら、それは必然的にデフレにつながり、経済成長を制限するかもしれない。」
Sheng氏のコメントは、中国人民銀行が今年1月から同国のビットコイン取引市場の精密な調査を強化してから数ヵ月後になる。規制見直しにより、取引手数料の追加、より厳しいKYCやマネーロンダリング防止基準、証拠金やローンベースの取引の完全な抑制など、中国のビットコイン取引の中で多くの重要な変更が生じた。
Sheng氏がデジタル通貨に関してもっとも批判することはボラティリティの高さで、「価格の変動は容易に10〜30%に達する」と述べた。
さらに、
「ある国がその国の通貨とデジタル通貨を受け入れると、国家経済全体はデジタル通貨のボラティリティの高さによって崩壊する可能性があります。」と述べた。
一方、中国中央銀行は、今月初めにデジタル通貨研究所を開設し、自国のデジタル通貨を開発することに力を入れている。中国中央銀行は、昨年末にブロックチェーンでデジタル通貨の初期実験を完了した。
Sheng氏によって提供された意見は新しいものではなく、他国の中央銀行も、国家に依存しない分散型デジタル通貨の批判を抱いている。
約1か月弱前に、ドイツの中央銀行総裁、イェンス・バイトマン氏は、即時支払い(InstantPayment)はビットコインのようなデジタル通貨への市民の関心を終わらせると主張した。又、別の理由から、バイトマン氏はデジタル通貨が将来の金融危機を悪化させる可能性があると主張した。(出典:CryptoCoinsNews)
▽参考
銀行の即時支払い機能がビットコイン騒ぎに終止符を打つ。デジタル通貨は将来の金融危機を悪化させる可能性。

■エムトレの視点

中国で多くの注目を浴びているビットコインに対して、中国の銀行アドヴァイザーからの批判的な意見は興味深い。しかしながら、ビットコイン自体が中国の大体通貨になるとは考えづらく、一方で政府は汚職や不正防止、利用実態の追跡のために独自のデジタル通貨を発行することは考えられないことではない。一部各国政府関係者による既存仮想通貨(暗号通貨)への批判は国家維持や経済学的観点よりも既得権益に対するバイアスがかかっているようにも感じる。


【ニュース提供・エムトレ】《FA》

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