ソフトバンク、ロボティクス分野への投資を加速 Boston Dynamics買収

2017年6月10日 16:35

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ロボット企業として知られるBoston Dynamics。(c) 123rf

ロボット企業として知られるBoston Dynamics。(c) 123rf[写真拡大]

 ソフトバンクがAlphabet傘下のロボティクス開発企業、Boston Dynamicsの買収に合意した。買収額や条件などの取引詳細については非公表である。またAlphabetとの本取引の一環として、二足歩行ロボットを開発する東京大学発のSchaftの買収にも合意。ロボティクス分野への投資を加速する。

【こちらも】ソフトバンク、AI・ロボットへの開発加速「アンドロイド」生みの親を支援

 ソフトバンクグループの孫正義社長は次のようにコメント。「今日、人間の能力では解決できない数多くの課題が存在する。スマートロボティクスは情報革命の次のステージの重要な推進役であり、また、Boston Dynamics創業者のMarcとそのチームは、最先端のダイナミックなロボット分野における明確なテクノロジーリーダーである。私は彼らをソフトバンクファミリーに迎え入れることができ感激している。」

 Alphabetはグーグルなどを傘下に収める巨大企業。Boston DynamicsとSchaftの売却については、以前から他社への売却が噂され、Amazonやトヨタ自動車が交渉段階にあるとの報道が流れていた。

 また、傘下のグーグルが13年に8社のロボット関連企業を世界から同時買収するなど、一時はロボティクス事業への注力が注目されてた。しかし、その指揮を担っていたアンドロイド生みの親、アンディ・ルービン氏がグーグルを離れたことで、ロボティクス事業の方向性が定まらず社内で宙に浮いてしまっていた。またロボティクス事業が収益の上がらない部門の一つであったことも現幹部陣の不満を買い、早急な売却へとつながったようだ。

 Boston Dynamicsは4足歩行ロボット「ビッグドッグ」や2足歩行ロボット「Atlas」などを開発しているMIT初のロボット企業。動画でのインパクトも強く世間での話題を集めるなど、軍事面における強靭なロボットという意味合いでも大変注目されていた。ところが米軍用に開発した前線支援四脚ロボットが「エンジン音が騒がしくすぐに敵に見つかる」という理由であっけなく不採用になるなど、ビジネスにつながる製品を生み出すことに苦戦していた。

 ソフトバンクは既に人型接客ロボット「ペッパー」での実績を積んでいる。その実用性や収益性はいまだに賛否両論はあるが、ロボットやAIという面において直に市場で蓄積したデータや、ロボット関連ソフトウェアの裾野拡大など次なる動きに結び付くものは多い。

 ソフトバンクの孫社長は12年にフランスのロボット開発企業アルデバラン社を買収したときから一貫した熱いロボティクス志向がある。先のコメントで言及したように情報革命のネクストステージはロボットなしには成り立たないという明確なビジョンは揺らがないようだ。現在、ロボティクスという分野にこれほどまでに大胆に注力し続けている大企業は他に見当たらない。今後もソフトバンクを中心としたロボティクス分野の動きには注目である。

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