JFEエンジニアリング、東南アジア初のシャフト式ガス化溶融炉を受注

2017年4月16日 21:36

印刷

シャフト式ガス化溶融炉、CGによる完成予想図。(画像:JFEエンジニアリング発表資料より)

シャフト式ガス化溶融炉、CGによる完成予想図。(画像:JFEエンジニアリング発表資料より)[写真拡大]

 JFEエンジニアリング社は、シンガポール南洋理工大学から、シャフト式ガス化溶融炉の建設工事を受注した。同社によれば、これは東南アジアでは初のシャフト式ガス化溶融炉建設となる。

 まず、シャフト式ガス化溶融炉とは何か、というところから話をしていこう。シャフト式ガス化溶融炉は色々なタイプのある(シャフトの他、キルン方式、流動床式、ガス化改質式、半乾留・負圧燃焼方式など)ガス化溶融炉の一種である。

 ではガス化溶融炉とは何か。平たく言えばゴミ焼却炉の一種だ。ただし、普通のゴミ焼却炉はゴミを燃やして灰などに変えるわけだが、ガス化溶融炉は、燃やしたゴミを資源に変換する。そういうわけで、「夢のゴミ処理施設」とも呼ばれている。

 どういうものかというと、まず低酸素状態でゴミを加熱、可燃性ガスと炭に分離する。これがガス化炉である。このガスと炭を溶融炉に移し、1,300度以上の高熱で燃焼させると、灰が溶融して溶融スラグなるものになる。この溶融スラグというのが、建設資材などとして活用可能な資源なのである。

 さて。JFEエンジニアリングは、単に建設工事を請け負うだけでなく、シンガポール南洋理工大学と共に、炉の運用の実証実験も行うことになっている。検証を行う実験の内容は以下の通りである。

 まず、石炭コークスの代替として、バイオマス燃料を利用する。一般廃棄物と、焼却灰とを混ぜて燃やす。そして、スラグの再資源化を検討する。

 同社のガス化溶融炉は10年を越える実績があり、今のところ安定した運転を続けているという(なお、ガス化溶融炉は高温・高圧であるため、爆発事故を起こすリスクを指摘する向きもあるのだが、現状では事故例は一件もないらしい)。

 また、シンガポールと言う国は、よく知られているように国土がとにかく狭い。ゴミの最終処分などさぞかし頭の痛い問題であろう。そこで、残渣物の出ないガス化溶融炉の技術に話が回ってきた、というわけである。(記事:藤沢文太・記事一覧を見る

関連キーワード

関連記事