理研ら、他人のiPS細胞使った網膜細胞移植へ、世界に先駆け臨床研究

2017年2月14日 11:25

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記事提供元:エコノミックニュース

理化学研究所(理研)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、大阪大学大学院医学系研究科、神戸市立医療センター中央市民病院が連携し、他家iPS細胞から作成した網膜細胞を、加齢によって網膜を障害する病気の一種「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の患者に移植する臨床研究を開始する旨を発表した。

理化学研究所(理研)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、大阪大学大学院医学系研究科、神戸市立医療センター中央市民病院が連携し、他家iPS細胞から作成した網膜細胞を、加齢によって網膜を障害する病気の一種「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の患者に移植する臨床研究を開始する旨を発表した。[写真拡大]

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多能性幹細胞(iPS細胞)は無限大に増殖させることが可能であることから、再生療法の細胞源として大きく期待されており、iPS細胞を使用した研究は国を挙げた主要プロジェクトとなっている。患者自身の体細胞からiPS細胞を作ることも可能だが、期間やコストが大きいため、あらかじめ作っておいた他人のiPS細胞(他家iPS細胞)を利用した再生療法への期待が高まっている。こうしたなか、理化学研究所(理研)、京都大学iPS細胞研究所(CiRA)、大阪大学大学院医学系研究科、神戸市立医療センター中央市民病院が連携し、他家iPS細胞から作成した網膜細胞を、加齢によって網膜を障害する病気の一種「滲出(しんしゅつ)型加齢黄斑変性」の患者に移植する臨床研究を開始する旨を発表した。

滲出型加齢黄斑変性では、異常な血管が破れたり、血液成分が漏出したりすることで、ものを見る際に重要となる黄斑部の働きが低下し視力低下をまねく。理研などが患者本人から作ったiPS細胞による移植を2014年に実施している。今回の研究ではCiRAの山中伸弥所長らの研究グループが備蓄している他家iPS細胞を使う。iPS細胞からあらかじめ網膜細胞を作っておくことで、本人のiPS細胞を使う場合よりも移植までの期間を短縮でき、コストも大幅に削減できる。

他家iPS細胞を使った研究は、大阪大学大学院医学系研究科によって心筋組織移植に関しても行われている。また、CiRAにより、パーキンソン病患者に対してのドパミン神経前駆細胞移植に関しても、他家iPS細胞由来のドパミン神経前駆細胞を使った医師主導治験を行う方針が示されている。今回の他家iPS細胞由来の網膜細胞移植の臨床研究に関しては、以前から計画していたものが、このほど厚生労働省により認可されたかたちだ。研究開始にあたり患者の募集も行っているとのこと。他家iPS細胞移植では、移植細胞が腫瘍を形成する腫瘍原生や免疫反応などで課題があり、安全性を担保するためのエビデンス構築が求められている。(編集担当:久保田雄城)

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