自動運転の前段「対歩行者自動ブレーキを“スタンダード装備”とするか?」、国交省

2017年1月3日 17:03

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記事提供元:エコノミックニュース

昨年度から国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は、新たな対歩行者自動ブレーキを安全性能評価の対象として加えた。結果、マツダ「アクセラ」が最高得点を獲得した

昨年度から国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)は、新たな対歩行者自動ブレーキを安全性能評価の対象として加えた。結果、マツダ「アクセラ」が最高得点を獲得した[写真拡大]

 12月、国土交通省と自動車事故対策機構(NASVA)が、2016年度上期「自動車アセスメント(J-NCAP)」の評価結果を発表した。本年からスタートした対歩行者自動ブレーキ(25点満点)で、各社の対歩行者自動ブレーキ性能が問われる恰好となった。

 今回から対歩行者の自動ブレーキ試験を導入した背景について国土交通省は、「交通事故による死者数のうち歩行者が約37%(2015年)と最も高い割合を占め、歩行者の安全対策が車両安全対策において喫緊の課題。新たに対歩行者自動ブレーキを安全性能評価の対象として加えることで、歩行者の事故の防止に向けた、より安全な自動車の普及を図る」とする。

 今回、マツダの予防安全技術「i-ACTIVSENSE(アイ・アクティブセンス)」を搭載した「マツダ・アクセラ」が、予防安全評価の総合評価で最高ランク「ASV++」(Advanced Safety Vehicle Double Plus)を獲得、得点は71点満点のなかで70.5点を獲得した。

 総合評価は、自動ブレーキ(対車両&対歩行者)、車線はみ出し警報、バックビューモニターの4つの試験の合計得点による評価である。

 対物自動ブレーキでは試験車を10 ~ 60km/h で模擬車両(ターゲット)に後方から接近させ、被害軽減ブレーキの作動試験を行なう。 試験は、ターゲットが停止した状態での試験と、20km/h で走行している場合の2種類がある。警報またはブレーキの作動により衝突を回避した場合、あるいは衝突した場合であっても、衝突前にどの程度速度低下していたかに応じた得点か加点される。

 自動車アセスメントにおいて今回から新たに「対歩行者自動ブレーキ」の評価を開始し、11車種の評価を行なった。今回評価の対象となった11車種は、すべて対歩行者自動ブレーキを装備しており、評価対象車11車種すべてが予防安全性能の総合評価で最高ランク「ASV++」(71点満点中46点以上)を獲得した。

 なかで、対歩行者自動ブレーキの成績(25点満点)で1位がマツダ「アクセラ」(24.5点)、2位は富士重「フォレスター」(23.5点)、3位は同じく富士重「インプレッサ」(22.9点)、4位富士重「レヴォーグWRX」(22.5点)、5位はトヨタ「プリウス」(22.1点)だった。アクセラ以外では、富士重の「Eye Sight(アイサイト)ver.3」搭載車の優秀な成績が光る。

 対歩行者自動ブレーキの試験は、対象車両が直線道路を走行中に歩行者(ダミー)が道路を横断する。車両はカメラなどセンサーで歩行者を検知して、自動ブレーキを作動させる。衝突を回避できるか、回避できない場合でも減速度の大きさを評価する。

 歩行者ダミーは運転者から見通しの良い場所を横断するケースと、駐車車両があり見通しの悪い場所を横断するケースの2通りを設定。試験車両の速度は、見通しの良い場合が10~60km/h、見通しが悪い場合が25~45km/hに設定。

 アクセラは見通しの良い道路で55km/hまでは衝突を回避できた。が、最高速の60km/hの試験では衝突回避ができなかった。それでも対歩行者自動ブレーキ評価でトップとなった。

 他メーカーの車両もマツダと同様で、高速域の走行試験になると衝突を回避できなくなる傾向だった。

 高齢者が運転する自動車の暴走死亡事故などが増加している今、対歩行者自動ブレーキは、かつてのエアバッグやABS、ESP(Electric Stability Program/車両安定化装置)などと同じように、すべての車両に標準装備が義務づけられるかもしれない。(編集担当:吉田恒)

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