NYの視点:8日のECB定例理事会のポイント

2016年12月7日 07:26

印刷

記事提供元:フィスコ

*07:26JST NYの視点:8日のECB定例理事会のポイント

欧州中央銀行(ECB)は8日に定例理事会を開催する。この会合で、政策金利の変更は予想されていない。ECBは市場の期待に反し、2015年12月の会合で緩和策の拡大を見送り、3月会合で予想以上の緩和策を実行するなど、ECBの緩和を持続する能力あるいは意向に懐疑的見方も少なくない。そんな中、今回の会合での焦点は以下となる。

1)来年3月に期限がくる量的緩和(QE)プログラムの行方
2)購入する資産の条件を緩和するかどうか
3)QE縮小の決定があるかどうか
4)ドラギECB総裁がQE縮小(テーパリング)のヒントを与えるかどうか

ECBメンバーの中で、意見は分かれているようだ。しかし、万が一、QEが縮小された場合、ユーロの急伸が予想される。他のシナリオのひとつとして、現行各月、800億ユーロの資産購入ペースを鈍化し、規模を400−500億ユーロに縮小する一方で、期限を現行の2017年3月から延長し、たとえば2018年の第1四半期まで延長する可能性も指摘されている。しかし、このような措置は、ECBに対する市場の信頼をさらに失うことにもないかねない。

ドラギ総裁は欧州連合(EU)議会証言で、域内の地政学的リスクや政治的リスクの上昇にふれており、欧州経済には依然、緩和策が必要との見解を示している。このため、引き続き緩和策を維持し、インフレでの目標達成に必要とあれば追加的な措置の導入も辞さない構えを再表明すると見る。QEの6ヶ月延長が発表されると見られ、ユーロ売りが再燃する可能性もある。

リスクとしては、新年度のインフレ動向を見極める方針を示し、決定の発表を先送りする可能性が挙げられる。市場では来年のテーパリングを織り込むユーロの押し目買い意欲が強まりつつある。《NO》

関連記事