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例年通りの夏相場ならバイパス投資で物流機器株にセグメント人気の高まりを期待=浅妻昭治
「腐っても鯛」なのか、「死んだふり」なのか、値がさ主力株は、対応を悩ませる最たるものだ。ファナック<6954>(東1)、東京エレクトロン<8035>(東1)、トヨタ自動車<7203>(東1)、ファーストリテイリング<9983>(東1)等々である。業績の下方修正に減配、業績予想が市場コンセンサスを下回る、さらに月次売上高が2カ月連続で前年同月比マイナスとなったことなどが響いて、揃って株価が急落した。普通なら、こうした想定外の悪材料が出れば、一巻の終わり、お役ごめんで表舞台から退場を余儀なくされるところである。日本市場に先立って業績発表が進んだ米国市場では、アップルやウオルト・ディズニーなどの業績が市場予想を下回って株価が急落し、FRB(米連邦準備制度理事会)による9月のFOMC(連邦公開市場委員会)での利上げ懸念も再び強まっているとなればなおさらだ。
しかしである。値がさ主力株の急落にもかかわらず、日経平均株価は堅調で、今年6月の年初来高を窺う水準にあり、しかも東証1部市場の日々の売買代金が、3兆円を超える活況の日さえ珍しくない。もちろん、日本市場で進んでいる3月期決算会社の4~6月期(第1四半期、1Q)業績は、日本経済新聞の途中集計で経常利益が、前年同期より24%増え、過去最高となっており、ここで業績を上方修正を発表した小型株や建設株、食品株などの内需系の好業績株を買い上がったことも要因となった。
しかし、帰省ラッシュも始まってお盆休みも間近である。決算発表がピークを越えタマ切れとなる可能性のあるなかで、こうした銘柄頼みだけでこの先も日経平均株価が、高値を維持できるかどうかと疑問も湧く。値がさ主力株が、下げた銘柄ほど良く戻るとする「リターン・リバーサル」に急転直下するのを暗に示唆しているのではないかとも心配になる。現にファナックは、急落時の2万円台割れの安値から2100円超幅もリバウンドし、急落時に空けた窓の3分の2を戻している。とすれば、値がさ主力株の安値をさらに売り叩くのか正解か、あるいは安値場面は目をつむって突っ込み買いをするのがベストなのか、判断に迷いが生じて当然となる。
値がさ主力株が、もし出直るとしてそのタイミングがいつになるのかも気に掛かる。お盆休み明け直ぐなのか、黒田東彦日銀総裁が、円安牽制発言をしたとされた当時の為替レート、いわゆる黒田レートの1ドル=125円を下回る円安に進んだときか、さらには9月16日~17日に開催されるFOMCで政策金利引き上げを決定するか見送るかが明らかになってからなのかとも思い煩うことになる。
ただこうした悩める投資家も、足元の8月相場は例年、夏枯れ相場が繰り返されることに留意する必要がある。甲子園の全国高校野球大会はすでに熱戦を繰り広げ、今週末にはお盆安値となる。東証1部の売買代金が、辛うじて1兆円台を維持するなどの薄商いも想定しておく必要がある。こうした閑散相場では、小規模資金でも動意付き、しかも値動きの軽い銘柄が選好されるのがこれまでの投資セオリーとなってきた。このセオリーは、1Q業績が過去最高となるなかで、さらに脚光を浴び、値がさ主力株の株価動向をウオッチしつつも、これに並ぶバイパス投資の対象銘柄を新規に開拓する方法も有効になるはずである。そこで、こうした銘柄として物流機器株に注目してみたい。
物流機器株は、ファーストリテイリング<9983>(東1)が、大和ハウス工業<1925>(東1)と物流網構築で提携したあと、セブン&アイ・ホールディングス<3382>(東1)とも提携、ネット通販会社などで物流提携・再編が続いていることから注目度をアップさせてきた。ロジスティクス(物流・後方支援)の優劣が、企業競争力の強弱を左右することから、物流施設の需要増が高まり、物流施設特化型の外資系の不動産投資信託(REIT)なども組成され人気となっている。このところ相次いで発表された各種の設備投資調査でも、非製造業の運輸業で、消費の回復・多様化、Eコマースの拡大などから物流設備や物流システム向けの投資が高い伸びをみせる要因と分析されている。こうした好環境を享受しているのが、物流機器株で、業績も順調、投資採算的にもなお割安となっていることから、ぜひ夏相場の表舞台で一段と脚光を浴びることを期待したい。(本紙編集長・浅妻昭治)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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