海外のデジタルメディア市場はおいしい市場か 博報堂が米マーケティング企業を買収

2014年5月15日 09:07

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記事提供元:エコノミックニュース

 デジタル化やグローバル化の進展に伴い、広告メディアが激変した。これにともない、企業のマーケティング活動のあり方も一変した。世界的規模で高度化・複雑化し、従来型マーケティング法の革新や新たなソリューション開発が活発化している。マーケティングなどを含むメディア企業が世界進出を狙うには、メディアのあり方の激変期である今が進出のチャンスだと言える。

 このためかメディア企業の最大手電通<4324>はこのところ、海外戦略に積極的だ。5月に入ってからもブラジルの総合広告会社の株式70%取得と、今後株式持分のシェアを拡大し完全子会社化するオプションを電通グループが有することにつき、同社株主と合意したと発表した。また、欧州やアジア、オーストラリアなど世界各地のメディア企業の買収を進めている。

 今回、もう一方の雄、博報堂 DY ホールディングス<2433>が、米国のマーケティングサービス企業『SYPartners』社及び米国『Red Peak Group』社それぞれの100%買収を完了した。また、新中期経営計画で掲げる3つの成長ドライバーのひとつである『“専門性”と“先進性”の継続的な取り込み』を目的として、戦略事業組織「kyu」を同社傘下に組成した。

 今回組成したkyuは、最先端でユニークな「専門マーケティングサービス」を生み出している北米や欧州を主な対象エリアとしてM&Aをおこなう。kyuは新たな戦略事業組織として、3つの広告事業会社(博報堂グループ・大広グループ・読売広告社グループ)及び総合メディア事業会社(博報堂 DY メディアパートナーズグループ)と同列に位置付ける。

 kyuは傘下の専門マーケティングサービス企業を管理・統制する一方、これら企業の経営人材育成や能力開発、あるいは連携・協働を通じてのイノベーション創発を支援・促進する。新たな先端的ソリューションやビジネス機会の開発を行うという。

 『SYPartners』社は、1994年に米国で創業され、現在はサンフランシスコとニューヨークに拠点を持つ専門マーケティングサービス企業。「ビジョン/戦略策定」「カルチャー構築」「変革体験」プロセスを通して、「チェンジマネジメント」「トランスフォーメーション」に特化した『イノベーションコンサルティング』を、世界的に著名なグローバル企業のCEOとその経営チームに対して提供している。

 『Red Peak Group』社は、2009年に米国でマイケル・バーキンにより設立された専門マーケティングサービス企業。現在、ニューヨーク・ロサンゼルス・ナッシュビル・ロンドン・リオデジャネイロ・台北に拠点を持ち、「Red Peak Branding」と「RPMC」の2つのサービスブランドを通じて、グローバル企業にサービスを提供している。『デザインとブランディング』領域において高い専門知見を有し、ブランド戦略策定から調査、ネーミング・パッケージ・広告作成まで、統合的なコンサルティングサービスを行っている。

 米国の調査会社Gartnerが512人のITおよびマーケティング専門家を対象に実施した2012年の調査では、60%が今後2年の方がマーケティングの戦略性が高まるであろうと回答したという。また、米グーグルのアジアパシフィック担当マーケティングディレクター、マービン・チョウ氏は、世界のデジタル広告市場自体は、2020年には5000億ドル規模に拡大すると予測している。今後、博報堂グループはkyuを中核として、この2社を足掛かりにまずは最大の市場である米国進出を図る。さらには世界一級のマーケティングサービス企業を目指す方針だ。(編集担当:慶尾六郎)

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