フラジャイルでなくなった新興5通貨、次は日本円がフラジャイルに?

2014年4月1日 09:09

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記事提供元:フィスコ


*09:09JST フラジャイルでなくなった新興5通貨、次は日本円がフラジャイルに?
モルガン・スタンレー証券(MS)はかつて、インドネシア、インド、ブラジル、トルコ、南アフリカの通貨を「フラジャイル5(脆弱な5通貨)」と名づけました。これは米連邦準備理事会(FRB)による量的緩和の縮小に伴って下落が進みやすい通貨を指す総称ですが、最近の金融市場をみるとこうした“くくり”が次第に適切でなくなっている様がうかがえます。

インドネシアルピアは対米ドルで年初から7%以上上昇したほか、インドルピーは3.2%、ブラジルレアルは3.9%、それぞれ増価しています。また、トルコリラや南アランドも利上げ効果などで通貨は上げており、フラジャイルな5カ国は米緩和縮小という逆風をうまく乗り切っているようです。

この背後には各国が独自に進めてきたマクロ改革、および総選挙という特殊要因が挙げられます。例えば、インドでは政府が貿易赤字を招く最大の元凶とされていた金輸入に制限をかけ、貿易収支や経常収支が目覚しく改善しました。

また、インドとインドネシアでは総選挙および大統領選挙が控えており、より改革に熱心な新政権が誕生するという期待値も外国資本の流入を促しています。ブラジルでは中央銀行が政策金利の引き上げを継続していること、さらに10月の大統領選で現職のルセフ大統領が失脚するとの期待感が通貨だけでなく株価をもにぎわせています。

国際金融協会(IIF)が先週発表した新興30カ国への資金フローを見ると、流入額は1月の50億米ドルから2月に250億米ドル、3月には390億米ドルと雪だるま式に増えていることが確認できます。

新興国への資本流入がいつまで継続するかは未知数ですが、MSは「経済ファンダメンタルズ(基礎的要件)が短期的な支えとなり、センチメントは上向く」との見方。

さて、年内にもフラジャイルへの仲間入りをしそうなのが日本円です。経常収支の悪化に加え、円安を誘発して景気回復を図ろうとする政策そのものが、海外投資家の資金への依存度を強めているためです。実際、日本のマクロ環境が一向に上向かないのに辟易(へきえき)した投資資金はインドやインドネシアなどフラジャイルな国に流れている可能性も高まっています。

(フィスコ・リサーチ・レポーター)《RS》

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