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最低保証年俸の設定で産業構造の転換とイノベーションを(2/5)
35歳であれば35×10×1.5となり、525万円の年俸が保証される。共働きをしていれば1,050万円となる。(共働きによる、女性の職場復帰または就業の継続は本稿のメイントピックではないが、機会があれば別のところで触れたい)
この525万円を支払う負担の内訳だが、国と企業での折半となる。262.5万円を企業、262.5万円を国が負担ということだ。企業の負担が262.5万円であれば、あながち非現実的でもないが、国の負担の262.5万円の財源についてはその根拠が必要だ。本稿ではその根拠の試算は出さないが、試算はしている。
この年俸は「最低保証」であるから仕事の成果が上がっているか、リーダーシップはあるか等、個々人の査定はあるが、企業の規模や業界に関わらず、どこでどのような仕事であっても保証される。
一方優秀な人物の場合はどうだろうか。自社に引き止めたい、または他者から入社して欲しいと思う人財の市場価値として、仮に年俸700万円に相当するとしよう。その時は、企業が700万円を提示して、最低保証の525万円からの差額の175万円は企業が負担する。実質企業負担は437万円となる
50歳ではどんな状況だろうか。50×10×1.5×50%として、375万円が最低年俸保証となる。共働きをしていれば750万円だ。
なぜ50%とするかというと、18歳〜45歳までは国が負担する分の50%が、46歳以降は無くなり、年俸については企業だけが負担するという意味だ。もちろん、引き止めたい人財であればプラスアルファを企業が払えばよく、優秀な人財として他社から来てもらいたい場合は全て自社負担で市場価値に準じた金額を全て企業負担として提示すれば良い。
66歳以上の年金については、一旦提示したが別の機会で考察することとしたい。メッセージとしては夫婦二人を合わせれば年金額である程度の生活ができる金額、かつ就業できる状態であれば最低保証年俸があるという方針だけを提示しておく。
さて、こうした制度を作った場合財源はどこにあるのか。
この最低年俸保証は、ある種失業者を極端に減らすという意味合いがある。年金も構造をシンプルにする。結果社会保険庁、厚生年金基金等膨大た官僚組織を一気に簡素化することで捻出できる部分も相当あるだろう。
加えて、この仕組の中で競争意識と同時に、完全に失業することへの不安を解除することで、安心して工夫やサービスレベルの向上など、価値を生むイノベーションに取り組む方向性を創れるのではないだろうか。
財源を心配するよりは、こうした制度から生まれるイノベーションによる価値の創出を前提とする財源は、危ないと思われるだろうか。しかし、企業経営の中で行き詰まることがわかっていながら縮小均衡のコスト削減をして、価値を創出するどころか破壊して、ついにはこの世から消えてしまう企業を何社も見てきた。それよりは、本質的に企業が取るべきリスクを取れるようにすることのほうが必要なことではないだろうか。
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