【アナリスト水田雅展の株式・為替相場展望】米、ユーロ、中国の金融政策不透明感で不安定な相場に、6日のトヨタ決算が最大の注目

2013年11月4日 18:30

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

<株式・為替相場展望>(5日~8日)

 来週(11月5日~8日)の株式・為替相場は、海外の金融政策や国内の企業業績に敏感で不安定な地合いが継続しそうだ。外国為替市場では米国・ユーロ・中国の金融政策に対する不透明感や思惑がかく乱要因となり、株式市場では為替動向や国内主要企業の9月中間決算発表に敏感に反応する形だろう。注目材料は6日のトヨタ自動車の決算発表、7日のECB(欧州中央銀行)理事会とドラギ総裁の記者会見、7日の米第3四半期(7~9月期)GDP速報値、8日の米10月雇用統計だ。

 前週の動きを振り返ると、外国為替市場は日米の金融政策会合を控えていたため概ね1米ドル=97円~98円台で小動きだったが、10月31日の海外市場ではユーロ売りが強まる場面があり、また11月1日の米国市場では1米ドル=98円台後半までドル高・円安方向に傾いた。株式市場は米国株が史上最高値を更新した流れに対して、日本株は上値が重く、為替動向や主要企業の9月中間決算発表などに敏感に反応し、株価指数先物取引が主導する形で急落する動きが目立つなど不安定な地合いだった。

 米FRB(連邦準備制度理事会)の金融政策に関しては、テーパリング(量的緩和縮小)開始時期に対する不透明感を強めている。10月前半の米政府機関の一部閉鎖など財政問題を巡る混乱が景気に与えた悪影響を見極める必要があることや、14年2月7日まで先送りした連邦政府債務上限引き上げ問題が控えていることもあり、テーパリング開始時期は14年3月以降との見方が優勢になっている。

 ただし、10月29日~30日の米FOMC(連邦公開市場委員会)声明文で量的緩和の長期化に言及しなかったとして、次回12月17日~18日のFOMCでのテーパリング開始との思惑もくすぶっている。このため7日の米第3四半期GDP速報値と8日の米10月雇用統計が注目される。弱い内容だった場合にはテーパリング開始の先送り観測が強まり、為替は一時的にドル安・円高方向に傾く可能性があり、さらに要人発言を受けて乱高下する場面もありそうだ。

 ユーロ圏の金融政策に関しては7日にECB理事会が開催される。ユーロ圏の景気底入れ期待が高まっていたが、10月31日にはユーロ圏10月消費者物価指数速報値など主要経済統計が市場予想より弱い内容だったため、ECBの追加緩和観測が急速に広がってユーロ売りの動きを強めた。7日のECB理事会では金融政策の現状維持との見方が有力だが、理事会後の記者会見でドラギ総裁が年内の追加利下げを示唆するかが注目されている。

 中国の金融引き締め観測に関しては過度な警戒感が一旦は後退しているが、9日~12日に中国共産党第18期中央委員会第3回全体会議(三中全会)が開催されるため思惑に繋がる可能性があり、引き続き注意が必要となる。このように米国、ユーロ、中国の金融政策に対する不透明感を強めている状況であり、外国為替市場では思惑も絡んで不安定な動きとなる可能性もあるだろう。そして為替の不安定な動きは日本の株式市場に大きな影響を与える。

 国内では13年9月中間期決算発表が本格化し、化学、鉄鋼、機械、電機、自動車、精密、通信セクターを中心に、主力銘柄の発表がほぼ峠を越えた。日立製作所のように上方修正幅がポジティブサプライズとなった銘柄もあるが、一方ではコマツやソニーのように通期見通しを下方修正した銘柄に対する失望売りはもちろん、上方修正しても市場予想を下回ったとして叩き売られる光景は四半期ごとの定例行事となっている。

 そして来週は、市場のムードに大きな影響を与えそうなトヨタ自動車の決算発表が6日に予定されている。通期見通しの上方修正はほぼ確実とみられているだけに、事前の高すぎる市場予想を上回るポジティブサプライズとなって市場のムードを好転させるか、あるいは市場予想に届かなかったとして市場のムードを冷え込ませるかが焦点となる。

 なお日経平均株価をチャートで見れば、上値は7月23日の1万4820円18銭、9月27日の1万4817円50銭、10月23日の1万4799円28銭を結ぶ抵抗線が意識され、下値は6月13日の1万2415円85銭、8月28日の1万3188円14銭、10月8日の1万3748円94銭を結ぶ支持線が意識される三角保ち合いの形だ。上下どちらかに放れるタイミングが接近しているようだが、6日のトヨタ自動車の決算がきっかけになる可能性もあるだろう。

 需給面で見れば売り圧力が強まっている状況だ。高水準の裁定買い残高や信用買い残高に加えて、5月高値の信用期日や海外ヘッジファンドの11月決算が接近している。そして11月5日から空売り規制が緩和され、取引に厚みが増すというメリットもあるが、当面は売り圧力が増すとの見方が有力だ。海外ヘッジファンドなどのポジション調整売り、先物の仕掛け的な売りに伴う裁定解消売り、信用期日接近に伴う見切り売りに加えて、年内の証券優遇税制廃止に向けた利益確定売りも徐々に増えそうだ。売買代金が膨らみ、こうした売りを吸収できるかも焦点だろう。

 物色面では引き続き政策関連銘柄や、9月中間期決算あるいは通期見通しで好業績を発表した銘柄への個別物色が中心となるが、好業績見通しを発表しながらも市場予想に届かなかったとして売り叩かれた銘柄に対する見直し買いも入りやすいタイミングだろう。

 その他の注目スケジュールとしては、11月4日の米9月製造業新規受注、5日の日本10月マネタリーベース、豪中銀理事会、中国10月サービス部門PMI(HSBC)、米10月ISM非製造業景気指数、6日の米9月景気先行指数(コンファレンス・ボード)、6日~7日の英中銀金融政策委員会、7日の日本9月景気動向指数CI速報値、米9月消費者信用残高、8日の中国10月貿易統計、米9月個人所得・消費支出、米11月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値などがあるだろう。

 その後は、9日の中国10月主要経済統計(PPI、CPI、鉱工業生産、小売売上高、固定資産投資)、11日の日本9月経常収支、14日の日本7~9月期GDP1次速報値、ユーロ圏7~9月期GDP速報値などが予定されている。(ジャーナリスト&アナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

【関連記事・情報】
【話題】機械セクターの業績にまだら模様(2013/10/31)
【編集長の視点】モルフォは急伸後の窓埋め、調整最終、上方修正業績見直し、スマホ関連人気も(2013/10/31)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事