積水ハウス 中間期は大幅増収増益、通期見通しは上方修正ラッシュで過去最高が並び配当も積み増し

2013年9月7日 20:33

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記事提供元:エコノミックニュース

 住宅メーカーの積水ハウス<1928>は9月5日、2014年1月期第2四半期(2~7月中間期)決算を発表した。売上高は8452億円で前年同期比11.5%増で、第2四半期としては過去最高。営業利益は556億円で67.4%増、経常利益は576億円で68.2%増、四半期純利益は340億円で99.4%増で、昨年同期と比べると純利益はほぼ倍増した。当初の見通しを上回る増収増益の好決算だった。

 1月期の通期業績見通しは、当初見通しと比べて売上高は750億円上方修正して1兆8150億円、営業利益は200億円上方修正して1300億円、経常利益は225億円上方修正して1335億円、当期純利益は140億円上方修正して770億円で、売上高も各利益も全て過去最高を更新する見込みである。

 好業績を受けて、7月31日を基準日とする中間期の剰余配当金を当初予想の18円から2円増配して20円とした。期末配当予想は当初予想の18円から5円増配して23円。通期の配当予想は43円になる。

 国土交通省が7月31日に発表した2013年上期(1~6月)の新設住宅着工戸数は前年同期比8.6%増の45万1063戸で、2010年下期以来6半期連続で前年実績を上回っていた。そんな住宅市場の好調さが同社の好業績の背景にある。アベノミクスによる円安、株高による資産効果、企業業績の回復を受けたボーナス支給額増加のような個人所得の増加に加えて、住宅ローン減税や住宅取得資金の贈与に関する税制優遇のような政府の住宅取得支援策、消費税増税前の駆け込み需要、地価先高感、住宅ローン金利先高感による買い急ぎの動きなど、住宅業界にさまざまな追い風が吹いていた。一方、賃貸住宅については、相続税増税の動きに対して、所有地の有効活用で今から節税対策を図っておこうという需要もみられた。

 2~7月中間期は、次世代の「快適性」「経済性」「環境配慮」をアピールする戸建て住宅「グリーンファースト」や、耐震性、安全性の高い独自の「βシステム構法(鉄骨)」「シャーウッド構法(木造)」を活用して二世帯住宅や賃貸併用住宅にも対応できる3、4階建て住宅、土地活用から経営までサポートする賃貸住宅「シャーメゾン」などが好調だった。

 セグメント別の売上高、営業利益の対前年同期比の伸びは、戸建住宅事業が売上高11.4%増、営業利益49.2%増、賃貸住宅事業が売上高16.3%増、営業利益39.3%増、リフォーム事業が売上高12.8%増、営業利益17.1%増、不動産フィー事業が売上高4.1%増、営業利益32.8%増、分譲住宅事業が売上高19.4%増、営業利益316.8%増、マンション事業が売上高49.6%増、営業利益37.3%増、都市再開発事業が売上高25.3%減、営業利益17.2%増、国際事業が売上高3.5%増、営業利益49.3%減、エクステリア等のその他事業が売上高24.2%増で、増収増益の事業が並ぶ。

 通期の展望としては、消費税5%のまま来年4月1日以降の完成物件の引き渡しができるのは今年9月30日が契約期限だが、同社について言えばそれ以前の駆け込み需要自体が限定的で、10月以降の反動減は大きくならないと考えている。期末配当予想を5円増配としたのは、それも見込んでいる。

 なお、中間期決算発表と同時に、12月2日時点で同社株の単元株式数を1000株から100株に変更するという発表も行われた。9月5日の終値1310円で計算すると、株式の最低購入金額は131万円から13万1000円に下がる。全国証券取引所の「売買単位の集約に向けた行動計画」で、普通株式の売買単位を100 株に統一する目標が掲げられているのに対応した措置だが、変更後の最低購入金額が来年1月からスタートするNISA(少額投資非課税制度)口座の年間枠100万円を下回るので、12月2日以降、同社株を取得すればNISA口座に入れることが可能になった。個人投資家にとっては買いやすくなるとともに、値上がり益、配当益への課税が無税になるNISA口座に入れられるという新しい魅力も加わることになる。(編集担当:寺尾淳)

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