株主総会接近前まで調整色、売方は「江戸の敵は長崎で」の思いで攻勢も、徐々に「衣替え相場」の様相=犬丸正寛の相場展望

2013年5月31日 16:52

印刷

記事提供元:日本インタビュ新聞社

  今週(27~31日)の日経平均は、大きく下げ30日には1万5555円まであり、去る、23日につけた高値1万5942円から2387円安、率にして15%下げた。週末(31日)は反発したものの、1万4000円を回復することはできなかった。

  営業日数5日間でこれだけ大きく下げた背景には、(1)昨年11月から日経平均で約7300円上げた反動、(2)1ドル・100円に乗せた円相場が思ったほど円安とならず逆に円高に振れている、(3)長期金利の上昇で住宅ローン金利引上げ、(4)アメリカの量的緩和終了観測、(5)決算期数の最も多い3月期決算の発表一巡、(6)マーケット参加者に買い安心感が広まり全員参加相場となっていた反動、、(7)空売りの買い戻し一巡、――などが重なったためとみられる。

  とくに、マーケットでは、「23日の1100円安で終っていれば問題なかったが、30日の700円を超す下げが買方には致命傷となった。完全にこれまでの買い安心に対し、一気に警戒感が台頭した」(中堅証券)という。

  日経平均は、30日線を大きく割り込んだため、「押し目買い」から、当面は「戻り売り」に変わったとみるべきだろう。ただ、救いは、週足の日経平均は26週線に対し余裕があり、週足ベースでは「突っ込み買い」のできるチャートといえる。

  来週、アメリカの量的緩和問題がどのようになるか、大きい材料だろう。量的緩和は実体経済が強い証拠でもあるという見方はあるものの、NYダウの位置が高いだけに急落の材料となる心配はあるだろう。

  内部要因でみれば、信用買残の多いことは心配。買方心理の弱ブレと共に時間が経過するほど、今後、売り圧迫となる心配がある。しかも、戻りが鈍いとなれば、このところ負けの目立っていた売方が「江戸の敵は長崎」の思いで空売り攻勢を仕掛けてくることも予想される。

  週足での突っ込み狙い、ということになれば、26週線は1万2000円前後に位置していることからすれば、日経平均で1万2500円どころが突っ込み狙いの買いのメドとなりそうだ。指標株でいえばトヨタ自動車(7203)の5350円どころが突っ込み狙いのメドになりそうだ。

  今後、予想される相場では、「株主総会接近場面は高い」ということがある。例年、総会前は高く、そこを通りすぎて「夏相場」に向かう展開となっていることが多い。今回も足元で調整ということを考えれば同じように総会前の反発も十分予想される。ただし、その反発を契機に銘柄が入れ替わる「衣替え相場」となりそうだ。夏・銘柄への入れ替えを急ぐところに来ているのではなかろうか。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

【関連記事・情報】
【アナリストの眼】ワールドインテック株価は下値固める、下期に物流分野等で大型案件寄与で今12月期は51%増益(2013/05/31)
【編集長の視点】第一商品は6期ぶり最高純益更新の超割安株買いが再燃し反発(2013/05/31)

※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

関連記事