三井化学、独社から歯科材料事業を約543億円で譲り受け

2013年4月4日 18:16

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 三井化学は4日、ドイツのHeraeus Holding GmbH(へレウス社)より同社グループの歯科材料事業(Heraeus Dental)を譲り受けるための契約を、同日中にへレウス社と締結する予定だと発表した。

 今回へレウス社より、Heraeus Dentalに属する子会社の株式及び事業用資産のすべてを取得する。なお、同取得に際し、三井化学は100%出資の持株会社を設立し、同社が取得の上、統括・管理する予定。

 買収価格は4億5,000万ユーロ(約543億円)であり、同買収価格には株式取得の対価に加え、三井化学が引き継ぐこととなるHeraeus Dentalにかかる有利子負債等の額が含まれる。

 三井化学は中期経営計画において、景気変動の影響を受け難い事業の拡大を図るためヘルスケア材料事業の拡大・成長を目指している。特に歯科材料分野は需要が安定しており、かつ世界的な高齢化により今後大きな成長が期待できる分野となっている。

 今回の事業譲受の対象であるHeraeus Dentalは、長い歴史を通じて獲得した歯科材料事業に関する豊富な知見と業界でのプレゼンス、歯科材料市場における確固たるブランド力、世界20ヶ国以上に拠点を有するグローバル販売ネットワークとグローバル経営ノウハウを有している。

 一方、三井化学は、子会社であるサンメディカル株式会社において30年以上にわたり歯科材料事業を手掛けてきており、国内市場を中心に一定の市場地位を築いているが、将来に向けて更なる成長を図るためにはグローバル展開が課題となっていた。

 こうした状況に加えて、歯科材料市場においては貴金属から樹脂等の他の素材へのシフトが起こっており、貴金属の加工に強みを持つへレウス社から、ポリマー技術等の化学領域に強みを持つ三井化学がHeraeus Dentalを譲り受けることにより、今後の成長を一層加速させることができると判断した。

 今回の事業譲受により、三井化学グループは、歯科材料事業をコア事業として拡大・成長させていくためのグローバルな事業基盤を獲得でき、今後成長が見込まれる海外歯科材料市場への展開加速が可能となる。加えて、三井化学の豊富なR&D人材とポリマー技術等の化学領域の知見を活かし、Heraeus Dentalの持つ製品開発力とあわせ、顧客ニーズに対応した新たな製品の開発が可能となることが期待される。

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