デフレ相場からインフレ相場にパラダイム・シフト、日経225採用の低PBR銘柄に割り負け修正期待=浅妻昭治

2013年3月25日 10:18

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<マーケットセンサー>

 世の中、諸事万端、「3」が最も安定的でよろしい。この不易の法則通りに「アベノミクス」は、「3本の矢」でデフレ脱却を目指している。発足した日本銀行の新体制も、黒田東彦新総裁が、2人のりフレ副総裁を従える「トロイカ(3頭立て馬車)」の陣容で異次元の金融緩和策に拍車を掛けて行く。これを受けた株式市場も、円安、好業績、さらに外国人投資家や個人投資家が、大量に買い越す好需給が加わる「トリプル・メリット」で高値を更新中である。キプロスの金融危機も、日本市場の個別・独自材料で無事消化しそうなムードである。

 それにしても「アベノミクス」の情報の出し方は、兜町のストラテジストが、尾っぽを巻いて逃げるほどに巧みであるとつくづく思う。TPP(環太平洋経済連携協定)対策の輸出額を倍増させる農業の成長産業化にしろ、安部首相が大手企業に相次いで要請した賃上げにしろ、メタンハイドレート、レアメタルの海洋資源開発にしろ、個別具体的で、即、関連株が株高で応えて資産効果を増幅し、景気マインドの好転を牽引している。

 かつての景気対策・市場振興策が、公共投資の大盤振る舞いや大風呂敷を広げる経済計画の策定などのトップ・ダウン方式の一発勝負だったのに対して、「アベノミクス」は、微に入り細にわたった個別政策を積み上げるボトム・アップ方式に変わったようで、兜町は、これ幸いと個別株高テーマとしてダボハゼのように食い付いている。これなら政策効果も長続きするし、順張り対応でハシゴを外される心配もなく循環物色が可能になるというものである。投資家心理を手中で操る有能なブレインが安倍首相の脇を固めているのか、それともかつての資産バブル当時のように「政・官・証」の3位一体の蜜月関係が息を吹き返したのか、はなはだ興味のあるところである。

 これは、要するにデフレ相場からインフレ相場へのパラダイム・シフト(規範の遷移)を誘導しようとしているのに違いないのである。デフレ相場は、「リスク・オフ」を基本に勝ち組、負け組の「2極化」が顕著に現れたのが特徴であった。負け組銘柄に引っ掛かったら最後、それこそ「失われた20年」の塩漬けを覚悟しなくてはならなかった。一方、インフレ相場は、「リスク・オン」に拍車をかけどんな銘柄に入れ込んでも「全員勝ち組」となる期待が高い。現在ただいまは、かの萩本欣一風にいえば「2極化」から「良い株、悪い株、普通の株」の「3極化」を経て「全員勝ち組」へ徐々にシフトしているインフレ相場の初動段階にいるはずだ。「3極化」だから循環物色の銘柄シフトもスム-ズに進んで回転は効き、ここでもまた「3」の安定感を発揮することになる。

 インフレ相場での投資尺度としては、利潤証券しての株式より物的証券としての株式の価値がより高まるから、PBR(株価純資産倍率)のウエイトが増すはずだ。そこで低PBR株のなかから有望銘柄をセレクトするのが正解となるが、東証第1部の平均PBRが1.27倍となっているほどだから、低PBR株はそれこそ掃いて捨てるほど多い。とすれば具体的な銘柄としては、日経平均株価の採用銘柄のなかから低PBR株をスクリーニングして絞り込むのがベストとなりそうだ。抽出される銘柄は、日経平均株価との連動性を強めてより低PRB修正に弾みをつけ、値幅効果の期待も高まるということになる。(執筆者:浅妻昭治 株式評論家・日本インタビュ新聞 編集長)

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