味の素、米バイオ医薬品会社を約160億円で買収

2013年3月7日 10:35

印刷

 味の素は6日、米国のバイオ医薬品の開発・製造受託会社アルテア・テクノロジーズ社の発行済全株式を約1億7500万ドル(約160億円)で取得することについて合意に達したと発表した。4月中に同社を100%子会社化する予定。これにより味の素は、アルテア社の現行の経営資源(経営陣および従業員など)を最大限活用して事業基盤強化・拡大を図り、新会社を含め、急成長するバイオ先端医療分野全体で2020年までに売上高300億円超を目指す。

 バイオ医薬品とは、主に遺伝子組換え等のバイオテクノロジーを活用し、タンパク質やペプチド、核酸などにより創られた医薬品。これまで治療が困難だった疾患への適用が可能であり、安全性が高く最小限の副作用で高い効能が期待されることから、市場は北米を中心に急成長を遂げている。世界のバイオ医薬品の開発・製造受託市場規模は約23億ドルで、今後も年平均10%超の成長が見込まれている。

 アルテア社は、バイオテクノロジー企業が集積する米国のサンディエゴ市で1998年に創業し、現在バイオ医薬品のcGMP(current Good Manufacturing Practice)製造・開発サービスから製剤化までを手掛ける、製薬企業を顧客とする開発・製造受託会社。同社はバイオ医薬品の製造に必要とされている各工程での高度な技術や厳格な品質管理・ノウハウを有していることから顧客の高い評価を得ている。一方、味の素は、100年にわたるアミノ酸事業の中で培ってきたバイオテクノロジーを応用し、独創的なタンパク質の製法開発受託事業を推進してきた。

 今後味の素は、味の素独自のバイオテクノロジーと、アルテア社が持つ高度な技術、経験豊かな人材、cGMPに準拠した開発・製造機能を組み合わせることにより、世界最大の北米市場を中心にバイオ医薬品の開発・製造サービス事業を更に拡大し、味の素グループのバイオ先端医療分野における事業を強化・推進する。

関連記事