東ソー、リチウムイオン電池の破裂・発火などを予防する3製品を開発

2013年2月22日 18:19

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 東ソーは22日、同社グループの東ソー・エフテック(本社:山口県周南市) が、リチウムイオン電池の安全性向上に有効なフッ素系化合物製品(電解液分解抑制剤、電解液用難燃剤、新規消火剤)を開発したと発表した。今後顧客での性能評価を進め、2014年度からの本格販売を予定している。

 リチウムイオン電池は、パソコン、携帯端末用などの小型電池分野を中心に普及してきたが、今後は車載、電力貯蔵用などの大型電池分野での需要拡大が予想されている。一方、リチウムイオン電池は高温条件下で長期間使用すると電解液が分解し、電池の内圧上昇・破裂の危険性がある。また、電解液には可燃性有機溶媒が使用されているため、異常時に発火の危険性も懸念されている。そのため、長期間使用が必須となる大型電池分野ではリチウムイオン電池の安全性向上が大きな課題となっている。

 今回東ソー・エフテックが開発した3製品のひとつである電解液分解抑制剤「PFシリーズ」は、同社が独自開発した新規フッ素系化合物。既存の電解液にPFシリーズを少量添加することで、高温条件下における電解液分解を大幅に抑制する。東ソー・エフテックが行った試験では電解液分解を約1/100に低減したという。この効果により、リチウムイオン電池の安全性並びに電池寿命の向上が期待できるという。

 電解液用難燃剤「TFEP」は電解液との相溶性に優れる不燃性溶媒。市場ではTFEPを添加して電解液を難燃化する検討や、高電位正極対応溶媒として利用する検討が活発化している。東ソー・エフテックはTFEPの主原料となるトリフルオロエタノールの世界トップメーカーであり、市場ニーズに対応するため、今回リチウムイオン電池用途で使用可能な高純度TFEPの生産技術を開発し、世界に先駆けて量産体制を確立した。

 リチウムイオン電池の火災では、消火性能に優れるハロン(CF3Br)消火剤が有効と予想されている。しかし、ハロンはオゾン層破壊物質のため、現在は生産が中止されている。新規消火剤「CF3I」は地球環境にやさしい化合物であり、ハロン同等の消火性能を有する。東ソー・エフテックでは、高純度CF3Iの生産技術を開発し、量産体制を確立した。新規消火剤CF3Iは、万一のリチウムイオン電池火災にも有効に作用することが期待できるという。

 今回東ソー・エフテックは、これら3製品(電解液分解抑制剤、電解液用難燃剤、新規消火剤)の工業生産技術を世界に先駆けて確立したことで、リチウムイオン電池の安全性向上に貢献するとともに、今後も独自フッ素化反応技術を活用し、社会ニーズに沿ったフッ素系化合物製品を提供していく。

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