三井物産、米老舗高級ブランド「ポール・スチュアート」を買収

2013年1月8日 18:18

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 三井物産は8日、「Paul Stuart(ポール・スチュアート)」のブランド名で高級衣料雑貨小売業を運営する米国Paul Stuart, Inc.の全株式を取得することで創業家一族と合意し、2012年12月28日に全株式を取得したと発表した。

 Paul Stuart社は1938年、ニューヨークの中心に位置するマディソン街45番地に、当時アメリカントラッドが主流だった米国市場に初めてヨーロッパのファッションセンスを取り入れた、洗練されかつ先進的な紳士衣料品専門店として誕生した。以来、Paul Stuartブランドは米政財界の重要人物が多く所属するアイビーリーグ出身者や、世界のトップエグゼクティブやセレブリティに愛用され続け、米国有数の高級ブランドとしての揺るぎない地位を確立し、今年で75周年を迎える。

 三井物産は1975年よりPaul Stuart社製品の輸入事業を開始。1991年にはPaul Stuartブランドの日本市場向け独占生産・販売権を取得するライセンス契約を締結し、三陽商会を中核サブライセンシーとして同事業の拡大を進めてきた。現在では14社のサブライセンシーを通じて幅広い商品群を展開。日本での同ブランドの市場規模は小売売上高で約115億円(2012年3月期)に達し、三陽商会を通じて、青山・銀座の直営路面店2店舗に加え、百貨店インショップ約100店舗、アウトレット、E-コマースでの販売を行っている。

 Paul Stuartブランドは欧米及びアジアの約30カ国において商標登録しており、今回のPaul Stuart社買収を通じて三井物産はPaul Stuartブランドのグローバルな商標権を確保し、本格的なグローバルブランド事業に進出する。また、日本市場では将来にわたるライセンス事業の継続性を確保し、サブライセンシー各社の事業基盤の安定化に寄与していく考え。

 三井物産は、ファッションビジネス事業領域において長年にわたり培ってきたブランドマーケティング、小売事業運営、商品生産調達のノウハウを最大限活用することでPaul Stuartブランドの伝統を引継ぎ、更なるブランド価値の向上を目指す。また、一層のライセンス事業拡大を通して日本市場でのPaul Stuartブランド事業を2015年までに200億円規模に拡大する方針。

 加えて、三井物産がファッションビジネス事業領域の重点戦略地域として掲げる新興成長市場において所得水準の向上に伴うファッション市場の成熟化・高度化が進む中、Paul Stuartブランドの需要拡大を見据え、積極的にブランド認知度の向上、事業拡大を実現していく。

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