関連記事
学習指導と学童保育を掛け合わせた、学研HDと市進HDの新事業
学研ホールディングス(学研HD)と市進ホールディングス(市進HD)が、子育て支援と共に親子の触れ合いの場を提供する共同運営事業に関する業務提携を行うと発表。これと同時に、資本提携の強化も実施するとのこと。
総務省統計局のデータによると、1980年は614万世帯であった夫婦共働きの世帯数は、2012年には1068万世帯にまで増加。これと呼応するように、9月に厚生労働省から発表されたデータによると、留守家庭の子供に放課後の遊び場や生活の場を提供する「放課後児童クラブ」の今年5月1日現在の登録児童数は、平成23年に83万3083人であったものが、平成24年には85万1949人へと増加している。一方、放課後児童クラブ数も2万561か所から2万1085か所へと増加しており、一見、対策が進んでいるようにも見える。しかし、待機児童数は昨年より113人増加しており、依然として対策が急務となっている。
こうしたニーズを受けて学研HDと市進HDが今回新たに業務提携する事業は、学研グループが強みとする「多種多様な学びのコンテンツと家庭学習のノウハウ」と市進グループが強みとする「受験対策コンテンツと塾運営のノウハウ」の融合を図ったもの。放課後や休日に子どもを長時間預かる学童保育が、受験まで視野に入れた学習指導や英会話などのオプションサービスを兼ね備えており、いわば「学習指導プログラム付学童サービス」となっている。平成25年春に1号店を都内に開設し、その後、都心部を中心に複数出店していく予定だという。
資本提携の強化は、この事業を進める上での連携を深めるためのもの。学研HDは、市進HDが発行する株式22万株(5434万円相当)を新たに市場買付により取得。一方の市進HDは、学研HDが発行する株式20万株(4200万円相当)を目安として新たに市場買付により取得する。
平成24年第2回国家戦略会議において、当時の枝野経済産業大臣が提出した資料では、2020年に国内の子育て支援市場を4.9兆円にまで拡大するとしている。一方、矢野経済研究所のデータによると、2011年度学習塾・予備校市場は、個別指導塾の伸び、学習指導要領改訂による補修需要の拡大等により、前年同期比1.0%増の9240億円と2年連続で拡大している。これらの市場を掛け合わせた今回の新事業は、時代のニーズに合った必然のものと言えるであろう。しかし、こうした民間サービスを受けられるのは、比較的余裕のある家庭に限られるのではないだろうか。となると、少子化や子育ての問題を何ら解決するものではない。真に問題の解決を望むのであれば、景気回復策も含めた行政による施策と同時に、国民全体の価値観等すらも見直す必要があるのではないだろうか。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
スポンサードリンク