【アナリストの眼】企業業績下振れに対する警戒感で弱含み

2012年9月30日 17:43

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

<相場展望>

  来週(10月1日~5日)の株式市場は弱含みの展開を想定する。重要イベントが相次ぐが、世界的な景気減速、円の高止まり、中国リスク、さらに株式評価損などで企業業績下振れの可能性が高まっているため、株式市場は警戒感を強めるだろう。ただし外国為替市場や米国株式市場の動向次第の面もあり、日中関係の緊張が和らぐ方向に向かうかどうかも注目点だろう。

  来週の国内外の重要イベントとしては、1日の日銀短観、4日のECB理事会、米FOMC9月12日~13日分の議事録公表、4日~5日の日銀金融政策決定会合、5日の米9月雇用統計などがある。主要国・地域の金融会合では9月に政策対応を決定しているため、今回は大きな動きはないだろうとの見方が有力である。ただし日銀会合に関しては、円高対応で何らかの緩和策を打ち出すのではないかという観測も一部にあり、期待値は低いながらも注目されるだろう。

  またECB理事会では、ドラギ総裁のスペイン問題に関する発言が注目されそうだ。スペイン政府は27日に2013年予算案と経済構造改革案を発表したのに続き、28日に国内主要金融機関のストレステストの結果を発表した。EUに対する資金要請額は合計で400億ユーロ程度となり、最大で620億ユーロとしていた試算を下回る模様となった。これが一定の安心感に繋がる可能性があり、ドラギ総裁がさらに安心感につながるような姿勢を示すかどうかが注目されるだろう。

■中国市場は国慶節で1~5日休み

  この他の注目スケジュールとしては、1日の中国9月製造業PMI(物流購買連合会)、米9月ISM製造業景気指数、2日の豪中銀理事会、米9月自動車販売台数、3日の米9月ADP雇用報告、米9月ISM非製造業景気指数、3~4日の英中銀金融政策委員会、4日の米8月製造業新規受注などがあるが、よほど大きなサプライズや外国為替市場での大きな動きがない限り、株式市場の反応は限定的だろう。中国は共産党大会を11月8日に開催することを公表したため、続いて景気刺激策が発表されるとの観測もあるようだが、国慶節などで中国市場は1日~5日、香港市場は1日~2日が休場となるため、景気刺激策が発表されても中国市場の反応待ちで消化難となりそうだ。

  海外要因次第の展開に大きな変化はないと考えられるが、企業業績に対する警戒感をどの程度織り込んでいるかが焦点だろう。米国では次週10月9日のアルコア、12日のJPモルガン・チェースから主要企業の7~9月期決算発表が本格化し、主要企業が「財政の崖」が警戒される中でどのような業績見通しを示すかが注目される。そして国内でも10月上旬には6~8月期決算、下旬には7~9月期の決算発表が本格化するが、世界的な景気減速や円の高止まりに加えて、中国の景気減速と日中関係悪化による中国関連事業の収益悪化、国内での復興需要の息切れ感や個人消費の減速感などで景気後退局面入りの可能性が指摘され、主要企業の業績下振れの可能性が高まっている。

  このため決算発表の本格化を控えて、自動車や電機などの輸出関連、中国関連、景気敏感関連といった主力株を敬遠する動きが続き、復興・防災関連、再生エネルギー関連、SNS・ソーシャルゲーム関連、介護・医療サービス関連など、景気変動の影響を受けにくく、テーマ性があり、値動きの軽い銘柄への物色が一段と強まりそうだ。

  こうした状況を背景として、国内での景気対策への期待感が高まる可能性もあるだろう。民主党代表選と自民党総裁選を経て、それぞれの新執行部が決まり、衆院解散・総選挙を巡って駆け引きが激しさを増しそうだが、衆院解散・総選挙の時期が遠のいたとの見方も強まっている。景気減速感を急速に強めているだけに、日中問題や円高への対応はもちろんだが、国債特例法案の成立や補正予算の編成などで景気対策への期待感が高まれば、しばらく動きのなかった復興・公共投資関連の低位材料株が動き出す可能性もあるだろう(本紙・シニアアナリス水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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