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厳しい環境下でトップアスリートを支える助成金とは
日本のメダル獲得数が史上最多となったロンドンオリンピック。日本トップリーグ連携機構の調査によると、男性アスリートの74.6%が年収250~599万円、女性アスリートの26.0%が年収200~249万円、31.0%が年収300~399万円と一般国民と同程度であるという。しかしこれは平均値であり、男子アスリートの10.9%は250万円未満、女子アスリートは200万円未満が16.0%となっており、トップアスリートが競技を続けるためには多額の自己負担が必要とされている。同調査によると「競技活動費:自己負担額と必要額」において解答したアスリートは、年間平均61.8 万円を自己負担しているという。こうした環境下に置かれたトップアスリートを支えているのが、企業や団体による助成事業である。
公益財団法人ヤマハ発動機スポーツ振興財団(YMFS)が実施する助成事業「スポーツチャレンジ体験助成」もそんな中の一つである。スポーツを通じて自己の夢実現にチャレンジするアスリートや指導者、また研究者や留学生の活動を支援するこの助成金交付制度は今年で6年目を迎え、これまでに150以上の個人・団体を独自のプログラムにて支援。先のロンドンオリンピックと8月29日に開幕を迎えるロンドンパラリンピックに、助成対象者が合わせて8名出場するという成果もあげている。
2004年アテネ、08年北京に続いて3回目のパラリンピック出場、車椅子マラソンでメダルの獲得が期待される副島正純選手も助成対象者の一人である。ロンドンのマラソンコースは、12kmの大きなループを3週、そしてバッキンガム宮殿の周囲を1週する珍しい周回コース。カーブの数もこれまでと比べてかなり多く、車椅子ランナーにはそれだけ多くの駆け引きや技術、また加速のためのパワーが求められるコースとなっている。北京では先頭集団で北京国家スタジアムに差し掛かりながら、最後のカーブで転倒をしてしまった副島選手は、それでも持ち味であるアグレッシブなレースをすべく、その為に必要な瞬発力の積み上げに取り組んだという。
電通総研によると、ロンドンオリンピックの経済効果は日本に限っても、デジタル家電、飲食関連を中心に3687億円の直接的消費押し上げ効果があり、中期的には8037億円もの経済波及効果が期待されているという。これだけの経済効果が見込まれていながら、その立役者であるトップアスリートの生活環境・競技環境は非常に厳しいものである。殊、パラリンピックは日本に置いて注目を浴びることは少なく、その環境は健常者のそれよりも厳しいであろう。そんな日本人選手が今回のパラリンピックには135人も参加する。厳しい環境下、前回は27個のメダルを獲得しているパラリンピック日本選手団にも注目してみてはいかがであろうか。
※この記事はエコノミックニュースから提供を受けて配信しています。
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