【アナリストの眼】足元好調でもエコカー補助金予算切れ後心配、海外にも不透明感

2012年8月7日 09:58

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【自動車株を想う】

  6日の株式市場では、自動車セクター各社の株価は概ね大幅に上昇した。トヨタ自動車 <7203> が前週末3日の取引終了後に発表した4~6月期連結決算が好内容だったとして、一定の安心感につながった面もあるだろう。しかし自動車業界を取り巻く市場環境は、依然として不透明感が強い状況であることに変わりはないだろう。

  国内市場では、11年12月からスタートした現行のエコカー補助金が各社の販売台数を押し上げてきた。しかし間もなく予算切れとなり、駆け込み需要が膨らめば今月後半にも終了する見込みとなっている。リーマン・ショック後の09年から10年にかけて実施された、前回のエコカー補助金で購入した車については、その買い替え時期はもう少し先になるだろう。その間にも既存ドライバーの高齢化は進み、若者のクルマ離れも止まらない。2回のエコカー補助金実施で需要を先食いしてきただけに、反動は想定以上に大きくなる可能性もあるだろう。

  海外市場に目を移すと、債務問題や緊縮財政で揺れるユーロ圏市場での自動車販売減速はもとより、世界最大の自動車市場となった中国で、経済成長率の鈍化とともに自動車販売の減速感を強めていることが最大の懸念材料となる。東南アジア市場の一部では好調を維持しているとはいえ、その市場規模を考えれば業績下支え要因としては力不足だろう。

  日本の大手乗用車メーカーにとっての収益柱である米国市場での自動車販売が、足元では買い替え需要を中心に堅調であることが唯一の好材料だが、米国の景気も力強い動きとは言えないだけに、持続的な販売台数増加につながるかどうかについては不透明感が強い。

  もちろん需要面の不透明感だけでなく、外国為替市場で1ドル=78円台と円が高止まりしていることも警戒感につながる。

  単純に計算すれば、自動車セクター各社の13年3月期連結業績は、第1四半期(4~6月期)だけでなく、通期で見ても東日本大震災やタイ大洪水の影響が一巡するため、12年3月期に比べれば大幅に改善する可能性が高いだろう。しかし上述のように事業環境には不透明感が強く、期後半には改善ペースが鈍化する可能性もあるだろう。

  株式市場でこうした警戒感が後退し、自動車セクターが本格的に買われるには、もう少し時間が必要となりそうだ。(本紙・シニアアナリスト水田雅展)(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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