ルネサス、国内生産拠点の再編と5000人超の人員削減実施を発表

2012年7月3日 18:08

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 ルネサスエレクトロニクスは3日、強靱な収益構造の構築に向け、「国内生産拠点の再編」と「早期退職優遇制度の実施」を発表した。

 ルネサスは、2010年4月の統合以降、営業利益率2桁を実現する安定的成長を目指してきたが、2011年度は東日本大震災やタイの洪水の影響に加え、世界経済の停滞等により売上高は大きく減少しており、業績の回復が急務になっている。このような状況の中、同社は更なる収益基盤の強化に向け、生産効率化や財務基盤の強化等をより一層加速している。そして今回、その一環として、同社グループの国内にある生産拠点の再編および人的合理化施策の方向性を決定した。

 国内生産拠点の再編については、「注力分野向け生産体制の維持強化」と「事業の選択と集中による負荷減少ラインの縮小、譲渡・集約」をテーマに、前工程と後工程あわせて10工場の生産能力を縮小、または事業計画に従い譲渡または集約する方向で検討している。

 また、ルネサスは本日、早期退職優遇制度を実施することにつき労働組合に対し申し入れ、協議を開始したと発表。対象者は同社および国内連結子会社社員で、募集期間は2012年9月18日から9月26日の間、退職日は2012年10月31日。なお、削減人数についてルネサスは、「今回の早期退職優遇制度に関する募集人員の上限等は特に定めていないが、5千数百名の応募を想定している」としている。

 また、早期退職優遇制度の実施に伴う今年度における費用および効果については、「現時点において未定であり、確定次第お知らせする」としている。なお、今回の施策の実施による費用削減効果は、来年度以降、年間で430億円程度を見込んでいるという。各施策の実行等に伴う同社の連結業績に与える影響については「現時点で未定」としている。

 ルネサスは今後、海外市場および自動車・スマート社会分野を事業の柱とする方針。特に、マイコン事業については、自動車向けを中心に世界1位のシェアを堅持するとともに、「世界初40nmマイコン等、先端開発加速」、「エコシステムの構築による市場の創出」、「中国現地開発マイコンの成長市場への展開」を目指すとした。

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