世界の主要経済指標(分析と市場の反応)6月1日分

2012年6月2日 18:00

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■ギリシャ問題や米5月雇用統計悪化で欧米株が大幅下落、為替は円高が加速

  1日の日本株式市場は、前日の海外市場での円高進行や、中国5月製造業PMIの悪化を嫌気して下落した。為替はやや小動きだった。

  中国株式市場は、中国5月製造業PMI発表後も比較的堅調な展開だった。

  欧州株式市場は、ギリシャの最新世論調査、ユーロ圏主要経済指標の悪化、米5月雇用統計の悪化を受けて大幅下落した。外国為替市場ではユーロ売りが加速し、一時1ユーロ=95円50銭台、1ユーロ=1.22ドル台にユーロが下落する場面があった。ただしその後はユーロ買い戻しが優勢になった。

  米国市場では、欧州株式市場の大幅下落に加えて、米5月雇用統計の悪化を受けて株式市場が大幅下落した。米10年債利回りは低下し、外国為替市場ではドル売り・円買いが優勢になり、一時1ドル=77円60銭台に円が上昇した。その後はドルがやや買い戻された。

≪31日 日本≫

  急速な円高進行の動きに対して、安住財務相の「断固たる措置を取る時には取る」との発言を受けて、ドル買い・円売り市場介入への警戒感で、ドル売り・円買いの動きが一服した。

≪1日 中国≫

  中国5月製造業PMI(購買担当者景気指数)は50.4となった。4月の53.3に比べて2.9ポイント低下し、市場予想も下回った。一段の景気減速が警戒されたが、中国株式市場では金融緩和や景気刺激策に対する思惑も広がり、比較的堅調な展開となった。

  なお国家発展改革委員会の杜鷹副主任は「中国は2012年の経済成長を引き続き健全なものにするため内需拡大を目指す」と述べた。

≪1日 ユーロ圏≫

  1日発表の最新のギリシャ世論調査は、パブリック・イシューの調査で緊縮財政反対派の急進左派連合(SYRIZA)が31.5%でトップとなり、緊縮財政支持派の新民主主義党(ND)が25.5%で2位だった。

  ユーロ圏4月失業率は11.0%となった。市場予想と同水準だが、95年の統計開始以降で最悪の水準だった。3月は10.9%から11.0%に改定された。

  ユーロ圏5月製造業PMI(購買担当者景気指数)改定値は45.1となった。速報値の45.0に比べてやや上方修正となり市場予想も若干上回った。ただし4月の45.9に比べて0.8ポイント低下となり、09年6月以来の低水準だった。ドイツの5月製造業PMIは45.2で、4月の46.2から低下した。新規受注は外需の低迷が続いている模様だ。

  ドイツの財務省報道官は、欧州委員会が提案したスペインの財政赤字削減期限の延長を支持する考えを示した。ユーロ圏の重債務国に対して、弾力的に対応する用意があることを示したと受け止められている。ただし欧州委員会とECB(欧州中央銀行)が提案した銀行同盟については否定的な認識を示した。

  31日にアイルランドで実施されたEU新財政協定批准の可否を問う国民投票の開票結果が発表され、賛成60.3%で承認された。事前の想定どおりの結果として、市場の反応は限定的だった。

  ギリシャの最新世論調査結果、ユーロ圏4月失業率、ユーロ圏5月製造業PMI改定値の発表を受けて、ギリシャ問題に対する不透明感や、景気減速に対する警戒感が一段と強まり、株式市場は大幅下落し、外国為替市場ではユーロ売りが加速した。

≪1日 米国≫

  米5月雇用統計で、5月の非農業部門雇用者数は6.9万人増加にとどまった。4月改定値の7.7万人(11.5万人から下方修正)に比べて減少し、市場予想を大幅に下回った。5月失業率は8.2%となった。4月の8.1%に比べて0.1ポイント上昇し市場予想を上回った。11年6月以来の上昇だった。

  31日発表の米5月ADP雇用報告や新規失業保険申請件数が低調な内容だったため、ある程度は警戒されていたが、株式市場は大幅下落し、外国為替市場ではドル売りの動きが強まった。10年債利回りは大幅に低下した。米FRB(連邦準備制度理事会)に対する追加緩和圧力が強まるとの見方が優勢で、6月19日~20日のFOMC(連邦公開市場委員会)での追加緩和の可能性も指摘されている。

  米4月個人所得は前月比0.2%増加となった。3月の同0.4%増加に比べて鈍化し、市場予想を下回った。米4月個人消費支出は前月比0.3%増加となった。3月の同0.2%増加に対しては改善したが、小幅な伸びにとどまり市場予想と同水準だった。食品・エネルギー除くベースでは同0.1%増加となった。3月の同0.2%増加に比べて伸び率が鈍化し、市場予想を下回った。インフレ圧力が低下したとして、米FRBの追加緩和を期待する見方もあるようだ。

  米5月ISM製造業景気指数は53.5となった。景気判断の分かれ目となる50は34カ月連続で上回ったが、4月の54.8に比べて悪化し、市場予想を下回ったため、失望感が優勢の模様である。

  米4月建設支出は前月比0.3%増加となった。3月改定値の同0.3%増加(同0.1%増加から上方修正)と同水準だったが、市場予想をやや下回った。

  欧州株式市場の大幅下落に加えて、米5月雇用統計や米5月ISM製造業景気指数を受けて警戒感が広がり、米国株式市場は大幅下落した。米10年債利回りは一時1.45%台に下落した。外国為替市場ではドル売り・円買いが優勢になり、一時1ドル=77円60銭台に円が上昇した。ニューヨーク原油先物市場ではWTI7月限が1バレル=83ドル台に下落した。

≪1日 その他≫

  ブラジル1~3月期実質GDPは、前期比(季節調整値)プラス0.2%成長、前年同期比プラス0.8%成長にとどまり、市場予想を下回った。農業が干ばつの影響を受け、製造業は輸入品との競争激化などで前年同期比マイナス2.6%成長となった。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。

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