川崎重工がブラジルでドリルシップ建造などの合弁事業参画

2012年5月8日 11:00

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記事提供元:エコノミックニュース

 川崎重工が、ブラジルにおけるドリルシップ建造等の合弁事業へ参画することを決定し、合弁契約書の調印式を行ったと発表。ブラジル・バイア州の造船所エスタレーロ エンセアーダ ド パラグワス(EEP)への30%出資と同社への技術移転を行う。

 EEPは、ブラジル大手総合建設会社であるオデブレヒト、OASおよびUTCにより各種海洋構造物、各種船舶の製造販売を目的に設立された会社。今回の合弁により、バイア州において建設が開始された造船所の建設、ドリルシップ建造に関する技術を供与する。

 ブラジルでは、超大深水プレサル層から相次いで油田が発見され、この開発・掘削のためのドリルシップやFPSO(洋上石油・ガス生産設備)を始めとした各種船舶の需要が急伸している。こうした中、これまで中国において南通中遠川崎船舶工程有限公司(NACKS)及び大連中遠造船工業有限公司(DACOS)の2つの造船所を合弁事業として立ち上げた川崎重工が、技術パートナーとして選ばれ、今回の合弁に至ったという。

 中国を中心に造船事業の展開を進めている川崎重工。事業規模の拡大と収益性の維持向上を目指して国内拠点との協業体制の深化を図るというが、2011年度の実績は営業損益こそ改善したものの、受注・売上ともに減少。2012年度についても売上は減少し、営業損益も船価低迷の長期化等の影響により損益悪化すると予測されているなど、厳しい状況にある。こうした中、中国で行ったのと同様の新興国に対する技術移転を含んだ今回の合弁は、付加価値に存続をかける日本の造船をさらに圧迫する可能性があるのではないか。目先の利益だけでなく、日本国内における造船市場の維持向上にも資する事業展開となることを期待したい。

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