【相場展望】月末に向けて重要イベントや企業決算発表本格化、様子見ムード強めて個別物色の可能性

2012年4月15日 06:59

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週(4月16日~20日)の株式市場見通し】

■為替次第では調整長期化も警戒

  来週(4月16日~20日)の日本株式市場では、月末に向けて米FOMC(連邦公開市場委員会)や日銀金融政策決定会合などの重要イベント、そして12年3月期企業決算発表の本格化を控えているため、全体としては様子見ムードを強めて個別物色中心の展開となりそうだ。

  米追加金融緩和期待の台頭に加えて、スペインの国債利回り上昇でユーロ圏債務危機問題に対する警戒感が再燃していることもあり、基調としてのドル高・円安、ユーロ高・円安方向の地合いもやや微妙になってきただけに、外国為替市場で円安地合いから円高地合いに転じる可能性もあるだろう。したがって為替動向次第では、調整長期化が警戒される可能性もあるだろう。また、テクニカル面で調整一巡感を強めていることは支援材料だが、逆に調整長期化懸念が台頭する可能性もあるだろう。

  前週末13日の米国株式市場は下落した。スペイン国債利回り上昇で債務危機問題に対する警戒感が強まり、中国12年1~3月実質GDP成長率の5四半期連続鈍化、米4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値の低下などで、世界経済の先行きに対する警戒感も強まった。外国為替市場で終盤は、1ドル=80円90銭近辺、1ユーロ=105円70銭~80銭近辺と、やや円高水準だった。

  このため週初16日の日本株式市場は軟調なスタートが想定され、日経平均株価9500円台を巡る攻防となる可能性もあるだろう。その後は、米国、中国、ユーロ圏、そして日本の主要経済指標や、為替動向を睨みながらの展開だろう。米3月雇用統計での非農業部門雇用者増加数の悪化、中国の12年1~3月期GDPでの5四半期連続の成長率鈍化などで、世界経済の先行きに対する警戒感が強まっているだけに、主要経済指標に神経質な展開となるだろう。

  ただし月末に向けて、4月24日~25日の米FOMC、27日の日銀金融政策決定会合および4月展望リポート公表という重要イベントを控えているだけに、日米両国の追加緩和に対する思惑も交錯するだろう。

  さらに、4月下旬からは日本でも12年3月期の企業決算発表が本格化するため、全体としては様子見ムードを強めて、個別物色中心の展開となる可能性が高いだろう。

  ユーロ圏債務危機問題では、引き続きスペインやイタリアの国債利回りの動向はもちろんだが、フランス大統領選やギリシャ総選挙の動向などが波乱要因となる可能性があり、注意が必要だろう。さらにイランや北朝鮮の地政学リスクに対しても、引き続き警戒が必要だろう。

  テクニカル面で見れば、25日移動平均線を割り込み、前週はマイナス乖離幅を広げたことで、調整長期化懸念が強まっている。ただし、東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は80%台に低下しており、調整一巡感や売られ過ぎ感が台頭する可能性もあるだろう。

  世界の主要国・地域の前週の動向を整理してみよう。

  米国に関しては、12日に米新規失業保険申請件数が38.0万件となり、前週改定値の36.7万件に比べて1.3万件増加して市場予想以上に悪化した。米2月貿易収支は460億ドルの赤字となり、1月改定値の525億ドルの赤字に比べて市場予想以上に赤字幅が縮小した。13日には、米3月CPI(消費者物価指数)で総合指数が前月比0.3%上昇となり、2月の同0.4%上昇に比べてやや鈍化して市場予想と同水準だった。食品とエネルギーを除くコア指数は同0.2%上昇となり、2月の同0.1%上昇に比べてやや加速したが市場予想と同水準だった。米4月ミシガン大学消費者信頼感指数速報値は75.7となり、3月確報値の76.2に比べて低下し市場予想も下回った。

  ユーロ圏に関しては、10日にスペインやイタリアの国債利回りが上昇して債務危機問題に対する警戒感が再燃した。12日にはイタリア国債入札が順調だったため国債利回りが一旦は落ち着いたが、13日には、スペインの金融機関がECB(欧州中央銀行)から3月に借り入れた資金が2月比で急増したことを受けて、スペインの国債利回りが上昇した。

  中国に関しては、9日の中国3月CPIが前年同月比3.6%上昇となり、2月の同3.2%上昇に比べて加速して市場予想も上回った。10日の中国3月貿易収支は53.5億ドルの黒字(輸出は前年同月比8.9%増加、輸入は同5.3%増加)となり、市場予想に反して2カ月ぶりに黒字転換した。13日の中国12年1~3月期実質GDPは前年同期比8.1%成長となり、11年10~12月期の同8.9%成長に比べて減速して市場予想も下回った。5四半期連続の成長率鈍化となったため警戒感が強まった。

  日本に関しては、9日の2月国際収支で、貿易収支が1021億円の黒字となり、経常収支が1兆1778億円の黒字となった。9日~10日の日銀金融政策決定会合では現状維持を決定し、追加緩和を見送った。11日の2月機械受注は前月比4.8%増となり、予想外の上昇だったが反応は限定的だった。

 外国為替市場の動きを見ると、米3月雇用統計悪化による米追加緩和期待の台頭、日銀金融政策決定会合での追加緩和見送り、スペイン国債利回り上昇によるユーロ圏債務危機問題に対する警戒感の再燃、中国の成長率鈍化懸念などで、ドル・円相場、ユーロ・相場ともに、基調としての円安方向の地合いがやや微妙な状況となった。週末13日の海外市場で終盤は、1ドル=80円90銭近辺、1ユーロ=105円70銭~80銭近辺だった。

  テクニカル面で見ると、日経平均株価(13日時点の9637円99銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同9927円43銭)に対してはマイナス2.91%となり、マイナス乖離幅を広げた。また75日移動平均線(同9305円01銭)に対しては3.57%、200日移動平均線(同9093円08銭)に対しては5.99%となり、いずれもプラス乖離幅を縮小した。なお、東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は13日時点で82.4%に低下した。

■注目スケジュール

  当面の注目スケジュールとしては、国内では、17日の2月鉱工業生産確報値、3月消費動向調査、3月首都圏マンション発売戸数、19日の3月貿易統計、20日の2月第3次産業活動指数、4月主要銀行貸出動向アンケートなどがあるだろう。

  海外では、16日のユーロ圏2月貿易収支、米2月企業在庫、米3月小売売上高、米4月ニューヨーク州連銀製造業業況指数、米4月住宅建設業者指数、ピアナルト米クリーブランド地区連銀総裁の講演、ブラード米セントルイス地区連銀総裁の講演、17日の豪中銀理事会議事録、インド中銀金融政策発表、英3月消費者物価指数、独4月ZEW景気期待指数、ユーロ圏3月消費者物価指数改定値、米3月住宅着工件数、米3月鉱工業生産、米3月設備稼働率、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、カナダ中銀政策金利発表、IMF世界経済見通しで会見、18日のスウェーデン中銀金利発表、英3月失業率、英金融政策委員会4月分議事録、ユーロ圏2月経常収支、米住宅ローン・借り換え申請指数、ブラジル中銀金利発表、19日のフィリピン中銀政策決定会合、ECB理事会(金利発表なし)、米3月中古住宅販売、米3月景気先行指数、米4月フィラデルフィア地区連銀業況指数、米新規失業保険申請件数、3月北米半導体BBレシオ、20日の独3月生産者物価指数、独4月IFO業況指数、英3月小売売上高、ラガルドIMF専務理事の講演などがあるだろう。

  その後の注目イベントとしては、4月22日のG20財務相・中央銀行総裁会議、仏大統領選第1回投票、23日のユーロ圏4月総合・製造業・サービス部門PMI速報値、EU加盟国の2011年公的債務・財政赤字統計、24日~25日の米FOMC(連邦公開市場委員会)(声明と経済見通し発表、バーナンキ米FRB議長の会見)、27日の日銀金融政策決定会合および4月展望リポート(経済・物価情勢の展望)公表、米12年第1四半期GDP速報値、5月1日の豪中銀理事会(金利発表)、2日のEU財務相会合、3日のECB理事会(金利発表とドラギ総裁の記者会見)、4日の米4月雇用統計、6日の仏大統領選決選投票、ギリシャ総選挙などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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