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【再生可能エネルギー特集(5)】安定的な出力が得られる地熱発電
■天候の影響を受けず、安定的な出力が得られる地熱発電
再生可能な自然エネルギーの中で、気象条件、季節、時間帯を問わずに、安定的な出力が得られるという特徴を持っているのが地熱発電である。
地熱発電は、雨水などがマグマに加熱されて地下深部(通常は地下1000~3000メートル)に貯えられた高温の熱水を利用する。日本の地熱発電所の大部分では、坑井を通して地下から取り出した高温の熱水を、蒸気と熱水に遠心分離し、分離した蒸気でタービンを回して発電機を駆動させるという、シングルフラッシュ発電方式が主力となっている。通常はセ氏200度以上の高温熱水を利用する。分離した熱水と、発電に利用した蒸気を冷却したもの(蒸気凝縮水)は地下に戻され、地下深部でマグマによって再び加熱される。
そして火山国の日本は、インドネシア、米国に次ぐ、世界第3位の地熱資源大国と言われ、試算によると約2500万KW(キロワット)相当(原子力発電所20基分以上)の地熱資源量があるとされている。
しかし国内の地熱発電所は現在18地点で、合計の発電設備容量は約54万KW(火力発電所1基分程度)の稼働にとどまっている。日本の総発電設備容量に占める地熱発電の割合は1%未満に過ぎず、埋蔵地熱資源量に対しても僅か2%強しか使用していないことになる。そして国内の地熱発電所の新規立地は、1999年に運転を開始した東京電力・八丈島地熱発電所が最後となっている。
国内で地熱発電所の新規開発が停滞している背景としては、発電コストの高さや、立地面・規制面での制約などの問題がある。
地熱発電所は、環境影響評価(環境アセスメント)対象となっているため、地元との調整も必要となり、熱源調査(地熱貯留層の探査)から建設まで、新設には10年以上の期間を要する。探査費用などの初期コストが高いことも特徴で、探査結果次第では適正な地熱資源量が得られないリスクもある。
また、1カ所で開発できる発電規模が小さく、通常は1万~5万KWとされているため、1KW時当たりの発電コストが、火力発電所と比べて高いことも新規開発のネックとなっている。
さらに、有望な地熱資源の約8割が、国立・国定公園などの自然公園内にあるため、掘削開発に対する規制が多い。こうした立地面での制約に対して規制緩和などの政策支援が遅れていることも、地熱発電所の新規開発が停滞している要因である。
しかし、規制・制度改革など政策面での支援も動き出している。政府は、地熱発電所の建設費に対する補助金引き上げや、再生可能エネルギー源で発電した電力の全量買い取り制度の導入などで、地熱発電の普及を促進する方針を打ち出している。地熱開発の実質的な規制となっている自然公園法や温泉法の見直しにも着手する方針だ。
さらに環境省は、国立公園内の地下深部にある有望な地熱資源の利用を、公園区域外から公園内に向かって斜めに掘削し、パイプを通して地熱資源を回収するという、条件付きの手法を認めることを検討している。アイスランドなどで実用化された例もあり、景観を損なわずに地熱資源の利用が可能となる。掘削技術の開発も支援する模様だ。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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