ウェザーニューズ、2秒毎に津波を観測・捕捉するTSUNAMIレーダーを設置完了

2012年3月6日 21:39

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TSUNAMIレーダーが津波を捉える仕組み(画像:ウェザーニューズ)

TSUNAMIレーダーが津波を捉える仕組み(画像:ウェザーニューズ)[写真拡大]

  • TSUNAMIレーダー設置箇所(3月5日現在)(画像:ウェザーニューズ)

 ウェザーニューズは5日、津波被害軽減を目的として、津波を観測・捕捉する「TSUNAMIレーダー」を開発し、東北~北関東地方の太平洋沿岸がほぼ監視可能となる計9箇所に設置が完了したと発表した。

 TSUNAMIレーダーは、海底地震発生時に生じる海面の変動=津波を捉えるもの。捕捉可能範囲は沖合約30キロで、津波のスピードは海底の地形や水深で変化するが、時間に換算すると沿岸に到着する最大15分前に捕捉することが可能。また、2秒に1回の観測が可能で、津波発生から到達するまで津波をリアルタイムに観測し続けることができる。

 ウェザーニューズでは、東日本大震災の津波発生時に太平洋沿岸を航行していた海上保安庁の巡視船「まつしま」に搭載された船舶衝突防止用レーダーが津波を捉えたことをきっかけに、「レーダーで津波を捕捉する」取り組みを開始した。

 現在、東北~北関東地方の太平洋沿岸9箇所(八戸、宮古、釜石、大船渡、仙台、相馬、小名浜、日立、鹿島)に設置が完了し、東北地方太平洋沿岸で発生する津波をほぼカバーする。ウェザーニューズ内では24時間体制の監視も開始している。なお、現在TSUNAMIレーダーは、東北~北関東地方太平洋沿岸のみに設置されているが、今後は日本全国に展開する予定。

 また、ウェザーニューズは、TSUNAMIレーダーの設置完了に伴い、3月1日より「TSUNAMI Radarcast」の運用を開始した。「TSUNAMI Radarcast」は、TSUNAMIレーダーが捉えた観測情報をインターネット、モバイルのメールサービス(フィーチャーフォン、及びスマートフォン)を通じていち早く伝達し、職員の避難行動、誘導の促進による津波被害の軽減などを支援するもの。ウェザーニューズでは、「TSUNAMI Radarcast」を東日本大震災の復旧・復興に携わる企業、自治体に利用してもらう予定。

 今回の対象エリアは、TSUNAMIレーダーが設置されている東北地方~北関東太平洋沿岸地域(青森、岩手、宮城、福島、茨城)だが、TSUNAMIレーダーの展開にあわせて順次提供エリアを拡大する。東海・東南海・南海地震時など、今後大規模地震・津波が発生する可能性が高いと言われるエリアも対応していく予定。

 また、今回はインターネット・モバイルでの提供となるが、東日本大震災発生時には通信網が途絶えたことにより、情報が正確に伝わらなかったという課題があった。その教訓を活かし、今後、震災発生時でも情報を確実に伝達できる通信網を利用した情報提供の準備も進めていくという。

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