【相場展望】円安進行すれば強基調、ただし目先は上昇一服してスピード調整の可能性

2012年3月4日 08:33

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

【来週(3月5日~9日)の株式市場見通し】

■投資家の買い意欲は旺盛な模様

  来週(3月5日~9日)の日本株式市場は、一段と円安が進行すれば強基調となるだろう。急ピッチの上昇に対する短期的な過熱感が強い状況でも、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感の後退、米国景気の回復に対する期待感、世界的な金融緩和の動きに対する期待感、そして日銀の追加金融緩和と外国為替市場での円安進行なども好感して先高感が強く、投資家の買い意欲は旺盛な模様である。

  ただし目先は上昇一服して、スピード調整の可能性が高いだろう。前週は日経平均株価の1.35%上昇に対して、TOPIXは0.43%上昇にとどまった。また日経平均株価も、週末2日の終値9777円03銭は昨年8月2日(9844円59銭)以来の水準だが、9800円台では上値が重くなり始めた。株価指数先物取引が主導する形で29日の取引時間中には9866円41銭、1日の取引時間中には9865円75銭まで上昇する場面があったが、いずれも押し戻された。自動車や電機・精密セクターなどでは、利益確定売りに押される主力株が目立ち始めた。

  循環物色で指数を支える展開になれば理想だが、急ピッチで上昇してきただけに、短期的な過熱感を冷ますために、スピード調整が必要な状況となっている。

  前週末2日の海外市場では、為替のドル・円相場は1ドル=81円70銭~80銭近辺とドル高・円安水準だったが、ユーロ・円相場は1ユーロ=107円90銭~108円00銭近辺と円安一服の状況である。また米国株式市場でダウ工業株30種平均株価は小動きとなりほぼ横ばいで終了したため、週初5日の日本株式市場はやや手掛かり材料難のスタートとなりそうだ。

  そして週末9日には、株価指数先物・オプション3月限SQ(特別清算指数)算出や、米2月雇用統計の発表などの重要イベントを控えている。また、3月期末に向けた配当権利取りの買いが期待される一方で、決算対策売りも警戒され始めるだけに、様子見ムードを強める可能性もあるだろう。イラン情勢や原油価格に対する警戒感が強まる可能性にも注意が必要だろう。

  また、引き続き為替動向がポイントであり、日経平均株価1万円大台に接近するためには、一段の円安進行という追い風が必要だろう。前週の外国為替市場では、ドル・円相場は基調としてドル高・円安の地合いだったが、週前半には円安一服の場面があった。ユーロ・円相場はユーロ高・円安一服となった。そして、8日のECB理事会、9日の米2月雇用統計、12日~13日の日銀金融政策決定会合、13日の米FOMC(連邦公開市場委員会)といった重要イベントを控えているだけに、当面は様子見ムードを強めて円安の流れが一服する可能性もあるだろう。

  ただし、為替の円安進行などで、来期(13年3月期)の企業業績に対する期待感が高まっているだけに、円高方向の流れに転じない限り、下値は限定的だろう。

  なお前週末2日の米国株式市場は手掛かり材料難で小動きとなり、主要株価指数は小幅に下落した。ダウ工業株30種平均株価は前日比2ドル73セント(0.02%)安の1万2977ドル57セントと小幅反落した。前日終値を挟んで方向感に欠ける展開だったが、スペインのラホイ首相が12年の財政赤字目標をGDP比5.8%に設定し、EUと合意した4.4%より緩やかな水準になったことを弱材料視した。S&P500株価指数は前日比0.32%安と反落、ナスダック総合株価指数は前日比0.43%安と反落した。

  ユーロ圏債務危機問題に関する前週の動きを整理すると、2月25日~26日のG20財務相・中央銀行総裁会議では、IMF(国際通貨基金)への資金拠出について4月後半の次回会議での合意を目指す方針とした。27日にはドイツ連邦議会がギリシャ第2次支援策を承認した。28日には、格付け会社スタンダード・アンド・プアーズがギリシャを選択的デフォルトにすると発表した。29日には、ECB(欧州中央銀行)の3年物オペで応札額が5295億ユーロ(11年12月の1回目は4890億ユーロ)となり、ほぼ市場予想の水準だった。3月1日には、ISDA(国際スワップ・デリバティブ協会)が、ギリシャ債務交換プログラムについて「クレジット・イベントに該当しない」と発表し、現時点ではCDS(クレジット・デフォルト・スワップ)支払いが発生しないことになった。いずれも市場の反応は限定的で、ユーロ圏債務危機問題に対する警戒感は大幅に後退している。

  1日~2日のEU首脳会議では、財政規律を強化する新条約に署名したが、ESM(欧州安定メカニズム)拡充の議論は先送りとなった。2日には、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスがギリシャの格付けを最低の「C」に引き下げたと発表し、事実上のデフォルト(債務不履行)とみなした。

  米国の主要経済指標には強弱感も交錯しているが、雇用情勢や住宅市場の改善を示す指標が好感されている。27日には、米1月住宅販売保留指数が前月比2.0%上昇となり、12月改定値の同1.9%低下に比べて市場予想以上に改善して10年4月以来の高水準となった。28日には、米12月S&Pケース・シラー住宅価格指数が136.7となり、11月改定値の138.2に比べて市場予想以上に下落した。米1月耐久財受注は前月比4.0%減少となり、12月改定値の同3.2%増加に比べて市場予想以上に悪化した。米2月消費者信頼感指数(コンファレンス・ボード)は70.8となり、1月改定値61.5に比べて市場予想以上に改善した。29日には、米2月シカゴ購買部協会景気指数が64.0となり、1月の60.2に比べて改善して市場予想も上回った。米第4四半期実質GDP改定値は前期比年率3.0%成長となり、速報値の同2.8%成長から上方修正されて市場予想も上回った。3月1日には、米新規失業保険申請件数が35.1万件となり、前週改定値35.3万件に比べて市場予想以上に改善した。米1月個人所得は前月比0.3%増加となり、12月の同0.5%増加に比べて伸び率が鈍化して市場予想も下回った。米1月個人消費支出は前月比0.2%増加となり、12月の同横ばいに比べて改善したが市場予想を下回った。米2月ISM製造業景況指数は52.4となり、1月の54.1から悪化して市場予想も下回った。

  外国為替市場のドル・円相場は、ポジション調整の動きなどで週前半に円安一服となる場面もあったが、基調としてはドル高・円安の地合いだった。ユーロ・円相場は、週初に1ユーロ=109円90銭台まで円が下落する場面もあったが、その後はユーロ高・円安やや一服の展開となった。週末2日の海外市場で終盤は1ドル=81円70銭~80銭近辺、1ユーロ=107円90銭~108円00銭近辺だった。

  テクニカル面では、日経平均株価(2日時点の9777円03銭)の移動平均線に対する乖離率は、25日移動平均線(同9246円75銭)に対しては5.73%、75日移動平均線(同8754円24銭)に対しては11.68%、200日移動平均線(同9039円01銭)に対しては8.16%となった。東証1部市場の騰落レシオ(25日移動平均)は2日時点で134.1%となり、短期的な過熱感が強い状況が続いている。

■注目スケジュール

  来週の注目スケジュールとしては、国内では、3月6日の1月勤労統計、7日の1月景気動向指数CI速報値、3月フォーキャスト調査、8日の1月経常収支、2月景気ウォッチャー調査、11年10~12月期GDP2次速報値、9日のマネーストック統計などがあるだろう。

  海外では、5日の中国全人代(全国人民代表大会)開幕、ユーロ圏1月小売売上高、ユーロ圏2月総合・サービス部門PMI改定値、米1月製造業新規受注、米2月ISM非製造業景気指数、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁の講演、エバンズ米シカゴ地区連銀総裁の講演、6日の豪第4四半期経常収支、豪中銀理事会(金利発表)、ユーロ圏第4四半期GDP改定値、米週間チェーンストア売上高、米週間レッドブック大規模小売店売上高、ブラジル中銀金融政策委員会(7日まで)、米大統領選「スーパーチューズデー」、フィッシャー米ダラス地区連銀総裁の講演、世界最大IT見本市「CeBit」(10日まで)、7日の豪第4四半期GDP、英中銀金融政策委員会(8日まで)、独1月鉱工業受注、米1月消費者信用残高、米2月ADP雇用報告、米第4四半期労働生産性・単位労働コスト改定値、米住宅ローン・借り換え申請指数、ブラジル中銀金融政策委員会(最終日)、8日の豪2月雇用統計、ニュージーランド中銀金利発表、韓国中銀金融政策決定会合、インドネシア中銀金融政策決定会合、仏1月貿易収支、英中銀金融政策委員会(最終日)、ECB理事会(金利発表)と記者会見、米2月企業人員削減数(チャレンジャー)、米新規失業保険申請件数、カナダ中銀金利発表、9日の豪1月貿易収支、中国2月PPI・CPI・小売売上高・鉱工業生産・固定資産投資、マレーシア中銀金融政策決定会合、独1月貿易収支、米1月貿易収支、米1月卸売在庫、米2月雇用統計などがあるだろう。なおタイは7日が休場、インドは8日が休場、ロシアは9日が休場となる。

  その後の注目イベントとしては、3月10日の中国2月貿易統計、12日~13日の日銀金融政策決定会合、13日のユーロ圏財務相会合、EU財務相理事会、米2月財政収支、米FOMC(連邦公開市場委員会)、20日のギリシャ国債145億ユーロ償還期限、21日~22日のECB理事会などが予定されている。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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