エルピーダメモリ、会社更生手続を開始 負債総額は4480億円

2012年2月27日 18:17

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 半導体大手のエルピーダメモリは27日、本日開催の取締役会において、会社更生手続開始の申立てを行うことを決議し、東京地方裁判所にその申立てを行ったと発表した。申立ては、同日受理され、直ちに、同裁判所より弁済禁止等の保全処分命令、強制執行等に係る包括的禁止命令、及び監督命令兼調査命令が発令された。また、同時に連結子会社である秋田エルピーダメモリについても、会社更生手続開始の申立てを行った。今後は、東京地方裁判所及び同裁判所から監督委員兼調査委員に選任された土岐敦司弁護士の監督の下、役職員一丸となって会社の事業の再建に尽力していく方針。なお、負債総額は4480億3,300万円。

 エルピーダメモリは、1999年12月、国内唯一のDRAM専業会社として設立され(設立時の商号はエヌイーシー日立メモリ株式会社)、2000年4月から製品の開発事業を開始し、2000年5月に現在の商号に変更した。

 その後、エルピーダは、国外における営業拠点法人の設立、国内外における販売事業の開始、国内外他企業との間における申立人への事業承継、事業提携、子会社を通じた広島工場における製造事業の開始等によって、事業を拡大し、2003年3月以降は国内唯一のDRAM事業会社となった。また、2004年11月には、東京証券取引所市場第一部に株式(現在の普通株式)を上場し、その後も、2005年以降広島工場等への設備投資、ウェハプローブテスト工程の専門企業たる合弁会社テラプローブの設立、DRAMに関する後工程を行う完全子会社秋田エルピーダの設立、前工程を担う合弁会社Rexchip Electronics Corporationの設立及びその後の子会社化等、事業を展開してきた。

 しかし、パソコン出荷台数や1台当たりのDRAM搭載容量の増加による需要拡大期待を背景に、DRAM業界において、2006年から2007年にかけて積極的な設備投資による製造能力増強が行われた結果、供給が需要を大幅に上回り、2007年の初頭からDRAM価格は急落を始め、その後需給バランスが改善されないまま、2008年秋に始まった世界的な経済環境悪化による製品需要の大幅な減少の影響を受けて更に価格下落し、エルピーダは、2009年3月期において前年対比大幅な業績悪化を余儀なくされた。
 
 このような状況の中で、エルピーダは、2009年6月、世界においてもトップクラスのDRAMの開発、設計技術を有していることが評価され、その技術的優位性を維持し、生産性の向上を目指すことを目的に、経済産業省より「産業活力の再生及び産業活動の革新に関する特別措置法」に基づく事業再構築計画の認定を受けた。同事業再構築計画においては、プレミアDRAMについて最先端の研究開発を行い、高生産性を実現する最先端設備への投資を行うこと等により、エルピーダの技術優位性を維持し、生産性を向上させ、更なるシェア拡大を目指すことを目標としていたが、2010年以降、為替相場が対米ドルで歴史的な円高を記録していること、DRAM業界における競争激化等によりDRAM製品価格が急落していること等、エルピーダを取り巻く経営環境は益々厳しい状況になっていった。このような厳しい経営環境に変化が見られないまま、2011年にはタイの大洪水によるDRAM需要の低迷という新たなマイナス要因も加わった。

 以上のような経過により、エルピーダがこのまま自力で事業継続した場合、その資金繰りが早晩破綻することは必至な状況となった。また、仮に現状を放置して資金繰りの破綻が現実化した場合、エルピーダの企業価値は著しく毀損し、スポンサーによる資金提供等の途も事実上絶たれ、債権者を始めとする関係各位に対してより多大な迷惑をかけることが想定された。そのためエルピーダは、今回やむを得ず、会社更生法の手続に従って抜本的な財務及び事業の再構築を行うことによって会社再建を目指すこととし、本日申立てを行うに至った。


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