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2000年代の短編集から連想して「その他金融業」を見てみた=田北知見の銘柄ウオッチ
アメリカの女性作家、ローラ・リップマンの短編集『心から愛するただひとりの人』(吉澤康子・他・訳)を再読した。リップマンは女性探偵テス・モナハンを主人公としたミステリー・シリーズで有名だが、それ以外の女性を主人公とした短編も多く書いているようで、一昨年にハヤカワ文庫からこの短編集が出ていた。[写真拡大]
(株式ジャーナリスト:田北知見の銘柄ウオッチ)
アメリカの女性作家、ローラ・リップマンの短編集『心から愛するただひとりの人』(吉澤康子・他・訳)を再読した。リップマンは女性探偵テス・モナハンを主人公としたミステリー・シリーズで有名だが、それ以外の女性を主人公とした短編も多く書いているようで、一昨年にハヤカワ文庫からこの短編集が出ていた。発売とほぼ同時に買って読み、久し振りに再読したのだった。作品のほとんどは2000年代前半~半ばに書かれたものだ。
収録作品のひとつに『ARMと女』がある。ARMとは利率変動型住宅ローンのこと。ほかにPMI(個人住宅ローン保険)だの、バルーン・モーゲージだのといった言葉が出てくる。また、作中人物のセリフで、「ぼくは不動産名義書換代行会社を経営しているんだ。最近じゃ、それは造幣局を所有しているようなもんでね、とにかく、黙っていても金が入ってくる」とか。あとは会話で、「このあいだの連邦準備制度理事会では、グリーンスパンの様子がおかしかったですから」「様子がおかしい?」「便秘にでもなったというか、かろうじて金利を抑えているのは彼の括約筋のおかげだというような」と話すシーンも出てくる。
アメリカのサブプライムローン破綻が2007年頃、リーマンショックが2008年だから、その直前、つまり金融&不動産バブルがはじける直前の話だろうと思う。まだほんの3~4年ほど前の話だというのに、今読むと、なんだか隔世の感がある…というと大げさだろうか。以前にも少し書いたが、最近の私はアメリカの不動産サイトを見るのにハマっているのだが、多くの物件に「○○ドル、値下げしました」といったような謳い文句がついている。また、「月々のお支払い額は××ドルです」と支払いモデルを提示している。
そういえば過日、「米連邦住宅金融局が約2000億ドルのサブプライムローン(信用力の低い借り手向け住宅ローン)に裏付けられた住宅ローン担保証券(MBS)を販売したことで損害が出たとして、バンク・オブ・アメリカなど10社を超える大手金融機関の提訴に踏み切った」という報道を見かけた。これらの金融機関がサブプライムローンをMBSに組み込む際、適切な査定を怠ったとされる。連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)と連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)は、サブプライムローン問題などの悪化により政府管理下に置かれたが、政府管理への移行後、両社の存続のために1400億ドルを超える税金が投入されたそうだ。
ほんの4年ほど前の作品とはいえ、やはり隔世の感がある…と思うのだ。上記の内容とは関係ないが、不動産・金融から連想して、「その他金融業」セクターで優良株を探してみた。
★日立キャピタル <8586> (東1)
法人の設備などのファイナンスリースやオペレーティングリースといった法人向けファイナンス商品事業、消費者向けのマイカーローンやオートリースといった金融サービス事業、農機具のリースやローンなどの農業向け金融サービス事業等を行なっている、日立キャピタル <8586> (東1)を入れる。16日終値は16円高の993円。単位100株。PERは約10.6倍、PBRは約0.5倍となっている。チャートはこの1ヵ月ほど、底値圏の900円台後半でモミ合っている。そろそろ上放れのタイミングか。まずは1100円フシまでの戻りを目指す。
今期2012年3月期連結業績予想は前年比増収、営業・経常・純利益とも同2ケタ増益を見込んでいる。また、今期配当金は9月中間末と3月通期末それぞれ16円の、年間計32円予想。現在の株価で利回り約3.2%の計算となる。筆頭株主は日立製作所で、他の大口株主は信託、自社(自己株口)などが並んでおり、堅い。
★三菱UFJリース <8593> (東1)
三菱UFJグループで、リース業界トップクラスという、三菱UFJリース <8593> (東1)を入れる。16日終値は117円高の3025円。単位10株。PERは約8.5倍、PBRは約0.7倍となっている。チャートは8月1日につけた直近高値3460円からの反落局面となっていたが、下値2800円フシにあたり底打ち。ここ数日は堅調な地合いも背景に、リバウンドトレンドの様相を見せている。まずは3200円フシまでの戻りを目指す。1日付けの大和証券のレーティングでは、投資判断「2」(強気)、目標株価3420円とされた。筆頭株主は三菱商事で、ほかの大口株主には三菱系の銀行や生保、信託口などが並んでおり、手堅い印象だ。(執筆者:田北知見 株式ジャーナリスト・日本インタビュ新聞社IR記者)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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