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「二番目に不幸な投資家」にならないためには「想定内」の好決算銘柄に照準=浅妻昭治
日本で「一番不幸な個人投資家」といえば、日本航空から東京電力に乗り換えた投資家だろう。配当利回り買いで東電株を選んだまでは良かったものの、その東電が「想定外」の巨大地震と巨大津波に呑み込まれて原発事故が深刻化、お先真っ暗となったからだ。[写真拡大]
【浅妻昭治(株式評論家・日本インタビュ新聞社記者)のマーケット・センサー】
日本で「一番不幸な個人投資家」といえば、日本航空から東京電力 <9501> に乗り換えた投資家だろう。株主優待狙いとステータスシンボルで保有していた日本航空が、競争激化と「殿様商売」のトガメで会社更生法適用を申請して上場廃止となったことに懲りて、それならばと、債券並みの安定度間違いなしとして配当利回り買いで東電株を選んだまでは良かったものの、その東電が「想定外」の巨大地震と巨大津波に呑み込まれて原発事故が深刻化、お先真っ暗となったからだ。
新聞紙上にはあの恐ろしい「株主責任」の4文字が、見え隠れする。かつての不良債権処理でメガバンクに公的資金が投入された時の殺し文句である。肝心の東電の配当はもちろん、経営体制も民間企業として存続できるか不透明化する。東電社員は、年収2割カットのリストラだそうだが、「株主責任」となったら、それこそ2割程度ではおっつかない。
この「一番不幸な個人投資家」ほどではないが、「二番目に不幸な投資家」が、この5月に続々、族生しそうな気配がある。4月末から本格化する3月期決算会社の決算発表が、この不幸の始まりである。次期の2012年3月期業績について未定と予想する会社が続出するはずだからである。3月期決算会社の発表は、4月4日から始まり、前週末22日まで19社が発表を終えているが、例年予想を開示しない2社や第1四半期予想のみを公表する2社を除いて、4社が予想を未定としており、これは有意な多さであり、決算発表の進行とともにさらに膨れ上がる可能性を示唆している。
「未定予想」は、「現時点では東日本大震災の影響により合理的な算定は困難」を殺し文句にしている。「想定外」の複合災害が理由だから誰も文句はいえないし、未定予想が必ずしも株価の波乱要因になるとは限らないが、次期予想を開示しないのでは、投資家も「合理的な株価の算出は困難」となり、いずれ壁にぶつかるのは目に見えている。
ちょっと前までは株式市場には、「下方修正3点セット」といってもいい決算発表スタイルが存在していた。業績の下方修正を発表する会社は、必ずその下方修正をカバーする中期経営計画の策定と自己株式の取得を合わせて発表したものである。「3点セット」は、経営陣のエクスキューズ(言訳)、埋め合わせにしか過ぎなかったろうが、それでもその辻褄合わせで株価下落を限定的にとどめようとする経営陣の株価意識が感じられた。それに対して、「未定予想」には「赤信号、みんなで渡れば怖くない」式の安易さが鼻につくのである。
「想定外」の複合災害に対処するには、「想定内」の好決算会社をターゲットにする以外にない。悪環境下で好決算を発表し、続伸を予想した銘柄に投資対象を絞り込むのである。すでに決算を発表済みで先読みをする面白さもなく、後追い感も否めないが、それこそ「不幸な投資家」にならない完全策である。
2・8月決算会社ではあさひ <3333> 、島忠 <8184> 、ファーストリテイリング <9983> 、3月期決算会社では発表ほやほやの総合メディカル <4775> 、SPK <7446> 、第一稀元素化学工業 <4082> などが、「未定予想」会社が続出するなか、存在感を増すはずである。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)
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※この記事は日本インタビュ新聞社=Media-IRより提供を受けて配信しています。
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