『山よりでっかい猪(しし)は出ない』個別買い相場活発へ=犬丸正寛の相場展望

2011年4月23日 15:09

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

4月18(月)~22日(金)の週は、東証1部の出来高はすべて20億株割れが続いた。この週の日経平均の高値は9732円(22日)、安値は9405円(19日)で、高低差はわずかに327円にとどまった。

4月18(月)~22日(金)の週は、東証1部の出来高はすべて20億株割れが続いた。この週の日経平均の高値は9732円(22日)、安値は9405円(19日)で、高低差はわずかに327円にとどまった。[写真拡大]

★しばらくは、復旧関連、復興関連、非原子力エネルギー関連など・・・常に早めの売買を心がけたい

  4月18(月)~22日(金)の週は、東証1部の出来高はすべて20億株割れが続いた。この週の日経平均の高値は9732円(22日)、安値は9405円(19日)で、高低差はわずかに327円にとどまった。「3月」の月間での高低差が2541円と大きかったことで4月は小康状態といえる。08年10月のリーマンショックの下げの時もそうだった。『大陰線後の動きは小さくなる』という教え通りの展開だ。

  「薄商い」を良いほうに受け取れば、売り物が枯れているといえる。逆に、悪く受け取れば、買い物が入らないことである。要するに、売り買いが手控えられ様子見ということである。結果、材料次第では、真空地帯をどちらにでも値を大きく変動することにつながる可能性を秘めている。

  では、どのような大きい材料が予想されるか。『山よりでっかい猪(しし)は出ない』といわれる。今のところ、3月11日の「マグニチュード9.0」以上の大きい悪材料はないとみていいだろう。このことが、今の個別買い相場を活発とさせている背景である。

  しかし、余震だからといってあなどれない。マグニチュード5~6は頻繁に起きている。何度も揺さぶれているあいだに建造物は壊れやすくなっている。投資家も今は戻りを待っている状態から、戻りが鈍いと余震に疲れて見切ってしまう心配はある。しかも、予想される余震の中で大きい揺れは、「3月期決算」の発表。いくら、特損が出ると分かってはいても、地震と同じように、やはり、実際に起きると怖い。

  決算のほかに、大きい余震として気になるのは、「日本国債の格付け引き下げ」である。直近、アメリカ国債が引き下げられたのは、日本国債引き下げの露払いという観測もある。震災で苦しんでいる日本に追い打ちをかけるような引き下げはできないから、先ず、アメリカの引き下げからということらしい。日本が復興国債を発行したら、直ちに引き下げが行われる。結果、長期金利は跳ね上がるという見方だ。

  22日(金)の全国紙では、OECDが日本の消費税は20%が必要と指摘しているように、先進国の中で日本国の借金はGDPの2倍に達し最悪。国民の金融資産も底をつきかけているから、いよいよ国債を外国に売らなくてはいけなくなる。そのとき、外国人投資家は震災国日本のリスクのある国債を安い金利では買わない。高くするしかない。それが、また財政を悪化させる。この国債問題の大きい余震は考えておく必要がある。余震ではなく東海地震に匹敵する本震となる心配もある。

  しばらくは、復旧関連、復興関連、非原子力エネルギー関連などの個別物色は余震の続く中でも買い人気旺盛だろう。ただ、商いが薄いだけに大きい揺れが来れば巻き込まれてしまうことを頭に入れておきたい。常に早めの売買を心がけたい。(執筆者:犬丸正寛 株式評論家・日本インタビュ新聞社代表)

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