さくらインターネット:今11年3月期第3四半期決算説明会開催

2011年2月16日 10:58

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記事提供元:日本インタビュ新聞社

■全てのホスティングサービスを提供

  データセンター事業の最大手さくらインターネット <3778> は、10日にみずほインベスターズ証券本社で今11年3月期第3四半期決算説明会を開催した。

  同社は、現代表取締役社長田中邦裕氏が96年に京都の舞鶴市で立ち上げた企業で、その後、徐々に事業を拡大し、05年10月に東証マザーズに上場を果たしている。上場後初となる06年3月期の決算は、売上高27億5800万円、経常利益2億700万円となり、その後順調に事業を拡大し、10年3月期には売上高78億1200万円、経常利益7億2300万円と飛躍的な成長を遂げている。

  同社が所属するデータセンター事業は、サーバ、ルーターといった通信機器類を設置するスペースを提供するコロケーションと、データセンター事業者が所有するサーバ、ルーター等の通信機器類を、Web上で顧客がレンタル利用できるホスティングの2種類がある。

  コロケーションには、個室単位で貸し出すサービスと、ラック(棚)単位で貸し出すサービスがある。同社は、ラック単位のサービスである「ハウジングサービス」だけを提供している。

  ホスティングには、1社に1台のサーバを提供する専有ホスティング、仮想ホスティングを提供する仮想化ホスティング、一つのサーバを複数の客でシェアする共有ホスティングの3種類がある。同社では、専有ホスティングのサービスを提供する「専用サーバサービス」、仮想化ホスティングのサービスを提供する「仮想サーバサービス」、共有ホスティングのサービスを提供する「レンタルサーバサービス」と全てのホスティングサービスを提供している。

■成長が見込めるホスティング事業に重点を置き、都市型から郊外型データセンターへの投資へ軸足を移す

  IDC Japanが2010年9月に出した「国内データセンターアウトソーシング市場 2009年の実績と2010年~2014年の予測:ユーザー実態調査」によると、09年のコロケーション、専有ホスティング、共有ホスティング(仮想化ホスティングを含む)の市場規模を比較すると、コロケーションの市場がもっとも大きく、次に専有ホスティング、共有ホスティングの順となっている。しかし、今後の成長率を比較すると、専有ホスティング、共有ホスティング、コロケーションの順となる。専有ホスティング、共有ホスティングは2ケタ成長が見込まれているが、コロケーションは1ケタ前半の成長でほぼ横ばいを予想している。その為、同社では、今後成長が見込めるホスティング事業に重点を置き、都市型データセンターから郊外型データセンターへの投資へ軸足を移している。

■システム開発からサポート・運用まで一体的に自社対応が可能

  そのような状況の中で、ITインフラ、開発・運用体制、顧客基盤別に関する同社の特長を挙げると、ITインフラについては、国内トップの通信回線容量を持っていることである。その為、利用者は、要求したサイトに即つながることから仕事のスピードアップにつながる。

  また、国内最大級の郊外型データセンターを石狩市に建設中である。10月に竣工予定であるが、このデータセンターが稼動するとトータルコストが半分で運用できることから、どこよりも低価格でのサービスが可能となる。最先端のITインフラを構築しているといえる。

  開発・運用体制に関しては、自前主義で行っており、サーバは、自社で利用者に合った必要最小限のスペックで作り提供している。その為、コストパーフォーマンスが高まり、利用者にとって安価な価格で利用できる。また、自社内に研究組織を持ち、インターネットに関する様々な技術に取り組んでいる。その為、システム開発からサポート・運用まで一体的に自社対応が可能となっている。不具合が発生した場合でも、自社でサーバを作っているので、同社のスタッフがすぐに修理することから、他社に比較すると対応スピードが速いといえる。

  顧客基盤については、同社の専用サーバ、レンタルサーバの利用件数は27万件超であり、国内トップクラスといえる。特長としては、特定顧客に依存しない売上げ構成となっていることが挙げられる。売上高別顧客の構成比は、月額料金10万円未満の顧客36.6%、10万円以上100万円未満の顧客24.5%、100万円以上1000万円未満の顧客27.3%、1000万円以上11.5%とバランスが取れている。

■「さくらのVPS」OSラインアップを拡充したところ、人気化し8000ユーザーを超える

  今第3四半期間中の同社の取組は、営業活動の一環として幕張メッセで開催されたクラウドコンピューティングEXPOに出展。代表取締役社長田中邦裕氏の特別講演には、Uストリーム経由で数百人規模の人達が集まった。

  サービスに関しては、仮想サーバの「さくらのVPS」OSラインアップを拡充したところ、人気化し8000ユーザーを超え、専用サーバの1万ユーザを迫る勢いとなっている。専用サーバについては、サーバースペックを2GBから4GBに増強し、仮想環境の構築が可能なOSプラン(Citrix XenServer)を追加した。

  また、ITインフラの増強のため、都市型データセンターの堂島センターのフロアを拡張している。更に、石狩データセンターの用地を購入。

  顧客向けには、FAQサイトのコンテンツを充実すると共に、顧客対応の品質を向上するために、お客様アンケートを実施した。

  その一方で、今後も仮想化技術の競争力をアップするために、「さくらのVPS」の仮想技術の研究を行っている。

■第3四半期業績は2ケタ増収大幅増益、収益性の高いホスティングサービス売上構成比が大幅増

  その結果、第3四半期業績は売上高63億6800万円(前年同期比10.1%増)、営業利益9億4600万円(同2.0倍)、経常利益9億2300万円(同2.05倍)、純利益4億5900万円(同2.05倍)と2ケタ増収大幅増益となった。

  売上高は、新サービスの投入や既存サービスの機能強化により、ホスティングサービスの売上高が大幅に増加したことによる。

  利益面では、収益性の高いホスティングサービスの売上げ構成比が大幅に増加したことにより、売上総利益率は前年同期比で5.8ポイントアップしたことに加え、販管比率が1.4ポイント低下したことにより営業利益以下が大幅増益となった。

  サービス別の売上高は、ハウジング22億6300万円(同0.4%増)、専用サーバ23億5900万円(同22.9%増)、レンタルサーバ10億8000万円(同24.3%増)、その他のサービス(さくらのVPSを含む)6億6500万円(同10.1%減)となっている。

  ハウジングサービスは0.4%の増収とほぼ横ばいである。その理由は、競合企業のデータセンターの新設・増床により、都心部のラック供給量が増加し、価格競争が激化していることによる。  一方、専用サーバ、レンタルサーバ共に大幅増収となっているのは、顧客企業の市場が、スマートフォン・アプリ、モバイルコンテンツ、ソーシャルメディア等の人気で拡大したことと、前期より提供を開始した「専用サーバPlatform St」「さくらのマネージドサーバ」の受注が好調であったことによる。

  その他のサービスについては、さくらのVPSは好調であったものの、前期にサービスを提供していたインターネット接続、オンラインゲームのサービスを終了したこと等により減収となった。

  第4四半期以降の主な実施予定施策として、サービスの創造、セールス強化、品質向上、ITインフラの強化の4つを挙げている。

  この4つの施策を実施することで、通期業績予想は、売上高87億円(前期比11.4%増)、営業利益10億5000万円(同40.3%増)、純利益5億5000万円(同△3.0%減)を見込んでいる。(情報提供:日本インタビュ新聞社=Media-IR)

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