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東レ・繊維事業本部 縫製品を15年度で3000億円に
東レ・繊維事業本部は下期、この間、取り組んできた緊急対策「プロジェクトIT-Ⅱ」の総仕上げを急ぐ。体質強化のためのAPS、成長への布石を投じるAPGという両プロジェクトを推進するとともに、値上げや品種転換による収益改善を徹底。縫製品事業や中国事業拡大のための戦略投資も実施し、成長段階への移行を目指す11年度からの中期3か年計画へとつなげていく。
東レ・繊維事業本部は10年度上期、緊急対策「IT-Ⅱ」の一環として取り組んできた徹底した売り抜き、コストダウンのためのTCプロジェクトを通じ、上方修正した営業利益目標「135億円を達成できる」(杉本征宏社長)と見通している。
下期は、円高で競争力低下を強いられている輸出アイテムの海外拠点への移管、原材料の海外調達拡大などを計画。下期見通しの営業利益130億円については「今のところ変えるつもりはない」(杉本副社長)としており、10年度下期の半年間で「IT-Ⅱ」の総仕上げと取り組んでいく。 「IT-Ⅱ」では、事業体制革新のためのAPS、成長戦略推進のためのAPGという2プロジェクトを展開。APSを通じ短繊維の生産体制再編にはすでにめどをつけており、今後は11年度末終了をめどに長繊維の生産体制を再度、見直し、国内外の高度化・競争力強化を図る。
繊維事業本部を挙げて拡大と取り組む縫製品事業では09年度で年商2017億円を達成。10年度で2200億円前後を計画しており、「2015年度必達で3000億円に引き上げる」(同)ための中期戦略に力を入れる。
そのための海外拠点整備に意欲を示しており、「ユニクロ」とこのほどバングラデシュに編み・染め・縫製の一貫生産体制を構築。また、「あるユーザーとベトナムに進出する準備を進めている」という。
海外では、内需をターゲットとする中国事業の拡大を計画。縫製品事業やユニフォーム事業で中国市場に本格参入するため、東レ本体に"中国戦略グループ"を、東麗<中国>投資に"ユニフォーム開拓室"を新設。ユニフォームやスポーツ、インナーをターゲットとする販促を立ち上げた。
中国で紙オムツ向けスパンボンドを生産する東麗高新聚化<南通>がフル操業を続けており、第2系列増設中のこのほど第3系列の導入を決定。第2系列を11年3月から、第3系列を12年7月から立ち上げ、この時点で年産5万8000㌧体制を構築する。
ポリエステル綿混の東麗即発<青島>染色股●でも増設を計画。現行の月産280万㍍を12年中に同450万㍍に引き上げ、増設分で中国内需へのアプローチを本格化させる。
東レにとって「繊維が基盤事業であることに変わりはない」としており、下期も「IT-Ⅱ」に沿った売り抜きやTCプロジェクトと取り組み競争力強化を徹底する。
同時に11年度からの次期中期3か年計画の策定にも着手。国内事業の高度化、海外事業の拡大を考えており、「IT-Ⅱ」の2年間で投じてきた布石の刈り取りで「成長段階へと移行させたい」考えだ。
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