【東京薬科大学】メラトニン代謝を指標とした新たな薬物代謝酵素活性の評価法を開発−薬物代謝能に基づく個別化医療への応用に期待−
配信日時: 2026-07-30 14:20:19
東京薬科大学薬学部 個別化薬物治療学講座の横川彰朋講師、柴﨑浩美教授らの研究グループは、体内で睡眠ホルモンとして分泌されるメラトニンの代謝を指標とした薬物代謝酵素CYP1A2の活性評価法を開発しました。本研究成果は、薬理学分野の国際学術誌British Journal of Clinical Pharmacologyに掲載されました。
研究の背景
薬物代謝酵素CYP1A2は、統合失調症治療薬クロザピンや喘息治療薬テオフィリンなど、多くの医薬品の代謝に関わっています。一方で、その活性は喫煙や食物、併用薬などの影響を受けるため、患者ごとに大きく異なります。そのため、治療に先立ちCYP1A2活性を評価することは、一人ひとりに適した薬物治療(個別化薬物治療)の実現に有用な手段となります。
現在、研究レベルではテスト薬物としてCYP1A2で代謝されるカフェインを服用して薬物代謝能力を評価する方法が広く用いられています。しかし、この方法ではテスト薬物としてのカフェインの服用と検査前のカフェイン摂取制限が必要であり、臨床での利用には至っていません。
研究成果
研究グループは、メラトニンがCYP1A2によって6-ヒドロキシメラトニンへと代謝されることに着目しました。目的とする代謝酵素が関与する代謝クリアランスは最も忠実な活性評価の指標となるとの報告をもとに、健康成人18名を対象に、尿中6-ヒドロキシメラトニンと血中メラトニンを定量し、2時間の尿中6-ヒドロキシメラトニン排泄量をメラトニンの血中濃度-時間曲線下面積で除してメラトニン部分代謝クリアランス(CLm(MEL))を算出しました。このCLm(MEL) は、従来法であるカフェインクリアランスやパラキサンチン/カフェイン比と有意な相関を示し、テスト薬物を服用することなく、採血・採尿のみでCYP1A2活性を評価可能であることを確認しました。メラトニンは夜間に多く分泌される概日リズムを示し、血中濃度は朝に高く、時間の経過とともに低下します。そこで、10:00–12:00と14:00–16:00のCLm(MEL)を比較した結果、両時間帯においてほぼ一定の値を示し、いずれの時間帯でも評価可能なことを確認しました。
本研究で提案した内因性メラトニン代謝を利用したCYP1A2活性評価法の概要
今後の展望
本研究で提案した方法は、テスト薬物を投与する必要がないCYP1A2の内因性バイオマーカーとして期待されます。今後は喫煙者やCYP1A2阻害薬・誘導薬を服用している患者などを対象として、活性の変動を適切に捉えることができるかを確認したうえで、個別化薬物治療への応用を目指します。
論文情報
論文タイトル:Endogenous melatonin partial metabolic clearance as a potential endogenous marker of CYP1A2 activity
著者:横川 彰朋、島崎 隼人、五十嵐 俊二、田川 良樹、久田 直毅、柴﨑 浩美
掲載誌:British Journal of Clinical Pharmacology
DOI:10.1002/bcp.70589
▼本件に関する問い合わせ先
【研究に関するお問い合わせ】
東京薬科大学 薬学部 個別化薬物治療学講座 講師 横川彰朋(ヨコカワ アキトモ)
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電話:042-676-5803
E-mail:yokokawa[at]toyaku.ac.jp ※[at]を@に置換してください
【取材に関するお問い合わせ】
東京薬科大学 入試・広報センター
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