2024年度のゾンビ企業、推計約21万社 2年連続の減少 金利上昇の本格化により再び増加に転じる可能性も

プレスリリース発表元企業:株式会社帝国データバンク

配信日時: 2026-01-29 13:09:40

「ゾンビ企業」の現状分析―2026年1月最新版



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株式会社帝国データバンクは、2024年度決算における「ゾンビ企業」の動向について調査・分析を行なった。

SUMMARY
2024年度のゾンビ企業数は推計約21万社、ゾンビ企業率は14.3%となり、それぞれ2年連続で減少した。コロナ後の経済正常化や、倒産・休廃業にともなう新陳代謝がゾンビ企業数減少の一因とみられる。業種別では「小売」、地域別では震災後の債務負担が残る「東北」で高い。一方で、ゾンビ企業の多くは赤字や債務超過などの経営課題を抱え、収益力・安定性ともに全企業平均を大きく下回る。また、ゾンビ企業のうち17.2%は経営破綻の危機に瀕しており、金利上昇の本格化により再び増加に転じる可能性も。

[注] ゾンビ企業の定義は、国際決済銀行(BIS)が定める下記「ゾンビ企業」の基準に準拠
「ゾンビ企業」=3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上
インタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)=(営業利益+受取利息+受取配当金)/(支払利息・割引料)
ゾンビ企業率14.3%と2年連続で減少
国際決済銀行(BIS)が定める「ゾンビ企業」の定義である「3年連続でインタレスト・カバレッジ・レシオ(ICR)が1未満、かつ設立10年以上」の定義に基づき、2024年度のゾンビ企業率を算出した。帝国データバンクが保有する企業財務データベース「COSMOS1」(2025年11月末時点)において、2024年度の財務データが判明している「3年連続でICRが判明、かつ設立10年以上」の企業は11万9,027社あった。このうち、「3年連続でICRが1未満、かつ設立10年以上」の企業は1万6,966社を数え、この2つの数値をもとに全国のゾンビ企業率を計算すると14.3%と試算された。直近 では、2022年度の18.2%をピークに2年連続で減少した。
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2024年度のゾンビ企業率を業種別にみると、消費者の節約志向による売上不振が続く飲食料品小売やアパレルなどを含む「小売」(19.6%)が最も高かった。次いで、燃料コストの高止まりや2024年問題など、経営環境が厳しい一般貨物自動車運送業を中心とする「運輸・通信」(18.9%)が続いた。他方、オフィスビルや商業施設、土地など市場価値が安定している「不動産」(6.2%)が最も低かった。
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従業員数別では、「5人以下」(20.7%)が最も高く、唯一2割を超えた。以下、「6~20人」(15.3%)、「21~50人」(11.3%)が続いた。企業規模が大きくなるにつれて、ゾンビ企業率が低下し、「1,000人超」(1.8%)が最も低かった。
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地域別では、「東北」(20.4%)が唯一2割を超え、都道府県別でも1位「福島県」(24.5%)、2位「宮城県」(21.7%)、3位「岩手県」(21.2%)と上位を占めた。依然として、東日本大震災後の各種金融支援策の影響もあり、震災から間もなく15年を迎える今も借り入れ負担が重い企業が多いと考えられる。他方、「関東」(10.9%)が最も低く、「近畿」(12.2%)が続いた。とりわけ「東京都」は8.8%となり、都道府県別で最も低い水準だった。
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ゾンビ企業は、2年連続で減少の約21万社と推計
2024年度のゾンビ企業率14.3%を、帝国データバンクが保有する企業概要データベース「COSMOS2」収録の約147万社を母集団として当てはめると、2024年度の全国のゾンビ企業数は約21万社と推計された。
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社会経済活動の正常化、堅調なインバウンド需要、価格転嫁の進展などから利益の創出が進んだこともあり、ゾンビ企業数は2023年度から2年連続で減少した。加えて、企業倒産(2024年9,901件)や休廃業・解散(2024年6万9,019件)、私的整理、被合併などの増加を背景に、ゾンビ企業の事業の整理が一部で進んだ。その結果、直近1年で約2万9千社減少したとみられる。

ゾンビ企業、収益構造の脆弱さ目立つ
ゾンビ企業の財務状況について、「売上高経常利益率」「有利子負債月商倍率」「自己資本比率」の指標でそれぞれ平均値を算出し、全企業の平均と比較した。なお、平均値は1%トリム平均(最大値および最小値からそれぞれ1%分を除外)を採用した。
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企業の収益力を示す「売上高経常利益率」をみると、2024年度のゾンビ企業平均はマイナス5.12%となり、直近3年間で最も悪化した。同年の全企業平均(2.94%)と比べると、ゾンビ企業の収益力は厳しい様子がうかがえる。その背景として、人件費や原材料価格の高止まりに加え、価格転嫁が進まない業種では収益構造の脆弱さが表面化し、採算割れの状態が長期化しているとみられる。
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「有利子負債月商倍率」をみると、2024年度のゾンビ企業平均は9.47倍だった。同指標は徐々に減少しているものの、依然として過大な債務を抱えている。全企業平均(5.11倍)と比較し、2倍近くにのぼり、また、資金繰りを支えるために借入依存度が高まった企業では、金利負担増が収益を圧迫する悪循環に陥っている。改善傾向が見られるものの過剰債務状態の解消には一定の時間を要している。
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企業の安定性を示す「自己資本比率」をみると、2024年度のゾンビ企業平均はマイナス9.27%となった。債務超過額の拡大が進み、全企業平均(29.49%)と比べると、ゾンビ企業の財務内容は会社経営の安定性で、大きく見劣りしたままの状態にあることが分かる。

「経常赤字」かつ「過剰債務」かつ「債務超過」企業3万6千社
2024年度のゾンビ企業、約21万社について、収益力・過剰債務・資本力の3項目それぞれの課題を分析した。収益力については、経常赤字企業は推計13万4千社で全体の63.7%にのぼった。仕入れコストの増加や人件費の上昇などが価格に転嫁できず、本業の稼ぎが不安定といえる。過剰債務状況については、有利子負債が月商の8.5倍(倒産企業の平均水準)以上の企業が推計8万社で、全体の38.3%。毎月の返済額が重くのしかかり、常に支払いに追われている状態といえる。加えて、資本力については、債務超過企業が推計8万1千社で全体の38.4%だった。
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さらに、3項目すべてに該当する企業を推計すると約3万6千社で、17.2%となった。ゾンビ企業のうち6社に1社は経営破綻の危機に瀕する企業(=倒産予備軍)といえ、2025年の年間企業倒産件数(1万261件)の約3.5倍に達することが分かった。
2024年度のゾンビ企業率は14.3%となり、推計ゾンビ企業数は約21万社となった。ピークであった2022年度(18.2%、約26.7万社)から2年連続で低下した。この背景には、経済活動の正常化に加え、収益改善、そしてM&Aや倒産による事業の整理などが進んだことが挙げられる。しかし、その内実をみると深刻な格差とリスクが浮き彫りとなっている。現在、日本経済は「物価高」「人手不足」に加え、日銀による利上げにともなう「金利のある世界」への歴史的転換期にある。こうした環境変化のなかで、2025年の国内企業倒産件数は12年ぶりに1万件の大台を超えた。倒産企業の多くがコスト高や人手不足に耐えられなくなった中小零細企業である。

こうしたなか、ゾンビ企業の財務内容は悪化が続き、わずかな金利上昇であっても死活問題となり得る。特に「赤字・過剰債務・債務超過」の三重苦に陥る約3万6千社の「倒産予備軍」にとって、従来の金融支援に頼った延命策は限界に達している。ここまで2年連続で減少傾向にあったゾンビ企業だが、金利上昇の本格化によって利払い負担が増し、収益を圧迫することで、再び増加に転じる可能性も排除できない。また、円安環境や賃上げ動向などでコスト増がさらに進み、価格転嫁できない企業の脱落も考えられる。

これまで「潜在化」していた倒産予備軍が一気に表面化する可能性は日本経済の成長における大きな懸念材料といえる。

[1]2023年度以前の数値は、帝国データバンクが現在保有する財務データをもとに再計算しているため、「ゾンビ企業」の現状分析に関する前回発表(2025年1月20日)分とは一部異なる

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