長年に渡る殺陣技術の保存・伝承活動に対し「東久邇宮文化褒章」を受章 日本で唯一の女殺陣師、山野亜紀(女邦史朗)
配信日時: 2024-11-11 11:00:00
日本で唯一の女殺陣師(たてし)、「女邦史朗」こと山野亜紀(やまの・あき)が東久邇宮記念会より与えられる令和6年度の「東久邇宮文化褒章」を受章することが決まり、11月3日ホテルブリランテ武蔵野(埼玉県さいたま市)において、その授与式が行われた。「東久邇宮文化褒章」は、「社会や公共・文化振興などに貢献した人物を顕彰する」目的で設立された褒章。今回の受賞は、山野の師である故・林邦史朗(はやし・くにしろう)氏が創設した「林流総合武術」の教育用DVDシリーズを林氏と共同で制作、日本の映像文化を支える殺陣(たて)の技術を次の世代に継承する礎を築いたことに対して贈られたものである。
日本で唯一の女殺陣師(たてし)、「女邦史朗」こと山野亜紀(やまの・あき)が東久邇宮記念会より与えられる令和6年度の「東久邇宮文化褒章」を受章することが決まり、11月3日ホテルブリランテ武蔵野(埼玉県さいたま市)において、その授与式が行われた。
「東久邇宮文化褒章」は、「社会や公共・文化振興などに貢献した人物を顕彰する」目的で設立された褒章。今回の受賞は、山野の師である故・林邦史朗(はやし・くにしろう)氏が創設した「林流総合武術」や「林流真剣刀法」などの教育用DVDシリーズを林氏と共同で制作。日本の映像文化を支える殺陣(たて)の技術を次の世代に継承する礎を築いたことに対して贈られたものである。
林氏はNHK大河ドラマの3作目『太閤記』で芸能史上・最年少の殺陣師としてデビュー。その後、殺陣やアクション演技を専門とする団体「若駒冒険グループ」を創設(現・若駒プロ)。2015年に亡くなるまで、大河ドラマをはじめ数多くのTVドラマや映画、舞台で殺陣・武術・時代劇所作指導を手掛け「伝説の殺陣師」と呼ばれた。遺作は大河ドラマ『真田丸』(武田信玄役)。
山野は1994年より林氏に師事、2014年に兄弟弟子の中川邦史朗(なかがわ・くにしろう)氏と「邦史朗」の名を分け合って継ぎ、「女邦史朗」として日本初の女殺陣師となった。デビュー作は、2014年にBSスカパー!「NMB48のナイショで限界突破!」にて時代劇所作と刀法の殺陣指導を行っている。
時代劇や現代アクション作品は男性演者の需要が多く、女性である山野は技術があっても表舞台の仕事に恵まれなかった。そのため、研鑽の傍ら林氏の代理講師としてタレント養成所のアクション指導を2009年より務めるが、当時は女性の殺陣講師すら、まだ数えるほどもいなかった。
どうしたら女性の仕事が増やせるのか。山野は林に提案し、林氏のマネジメントやプロデュース業務を経験する事で、いわゆる縁の下の力持ちの活動も含めて、師と二人三脚で日本のTVドラマ文化を長年支えてきた経緯がある。
また山野は、日本の武士文化や時代考証についても造詣が深く、こうした幅広い知識をもとにミニシアターなどで時代劇映画の実演解説なども行っており、映画ファンに好評を博している。
これは山野の師の林が、NHK大河ドラマを50年以上務める中で、数多くの時代考証家や武術家と交流、自身も研究を怠るような人物ではなかったからと言える。
SNSのない時代に生きた林は、人との繋がりで数多くのドラマを手掛けるしかなかった。ドラマに指導に来られた数々の宗家の教えもあって、林は剣道・合気道・空手・ボクシング・琉球古武術・中国拳法・太極拳・馬術・弓術・槍術・薙刀術・棒術・杖術・小太刀術・棒手裏剣・手裏剣術・忍術・火縄銃などを学んだ。
大河ドラマであれば、平安時代から昭和までの殺陣を振り付けるに辺り、これほどの下地が必要であり、その殆どを山野が受け継ぐ経緯となったのは、林が「武劇」と自ら銘打ち、長らく、上記の武術を活かしエンターテインメント性を加えた演目を生涯のステータスとしていたためである。林は山野に、「自分がいない時には、山野が指導できるように」したという。
また林邦史朗は、日本刀にも深く通じ、真剣試斬演武も数多く行っている。
ドラマ撮影開始の折には、真剣で実際に竹などを斬る事で場を清めるなどのパフォーマンスや、ドラマ内で真剣の薙刀で金の入った袋を切る(義経・2005)演出にも協力。その後、自身が宗家となって「林流真剣刀法のすべて」という教育DVDも制作をした。
殺陣教育DVDシリーズの方は、アクション演技にまつわる怪我や事故などのリスクを低減するために林氏が考案した稽古手法を、誰でも気軽に学べるようにと山野が林氏に提案して企画・制作されたものである。
現代劇、時代劇の格闘や立ち廻り場面における体の使い方の基礎が学べるほか、実際の武術とドラマ上の演出との違い、安全面への配慮など幅広い知識が盛り込まれている。
未経験者を数多く指導してきた山野のノウハウが活かされ、初心者にもわかりやすく楽しみながら学べる内容となっている。
時代劇は現代劇に比べ衣装やセットに費用がかかる、時代考証など特別な知識が必要とされることなどから、昭和の全盛期を頂点に徐々に衰退、現在レギュラー番組として作られているTV時代劇はNHKの大河ドラマしかないのが実状である。
しかし、今年は真田広之氏が主演、プロデュースも手掛けたアメリカの時代劇ドラマ『SHOGUN 将軍』が全世界的に話題となり、また、京都の東映京都撮影所を舞台とした日本映画『侍タイムスリッパー』の記録的大ヒットなど、低迷していた日本の時代劇にまたスポットが当たりつつある。
時代劇制作において殺陣師の果たす役割は大きいが、これまでその仕事内容が一般の人に知られる機会はほとんどなかった。
「今回の受章は、業界全体に対する励ましと受け止めています」と山野は話している。
「本物よりも本物らしい」立ち回りを生涯追求し、各種剣術流派から、琉球古武術、太極拳に至るまで、広範な武術を学んで大河ドラマの演出に取り入れた林邦史朗の業績を、この受章をきっかけに時代劇ファンのみならず、もっと多くの人に知ってもらいたいというのが山野の想いである。
■山野亜紀コメント
「今回の受章は、師である林邦史朗の長年の功労が報われたものと思い、師に代わりまして深く感謝申し上げます。死の直前、師は『自分が会得した殺陣や真剣刀法の技術や、所作の知識を映像という形で遺すことができ本当によかった』と申しておりました。ただ、DVDを見るだけでは技術は身に付きませんので、やはり地道なトレーニングが必要です。私は邦史朗の名を継ぐひとりとして、師の信念と教えを身をもって一人でも多くの方々に伝えていきたいと思っております。」
■山野亜紀(女邦史朗)略歴
殺陣師/俳優/林流総合武術最高師範
オフィス・リバティ代表/日本和食文化研究家/四柱推命鑑定士
1994年 NHK大河ドラマなどの殺陣・武術指導を長年手掛けた、故・林邦史朗氏に師事。 劇団ひまわり、タレント養成所、 芸能プロダクションなどで、師匠と二人三脚で殺陣の指導 にあたる。数々の映像や舞台において、武術や時代劇所作 指導及び出演。
2005年 「オフィス・リバティ」設立。 師の公演やイベントのプロデュース、殺陣・真剣刀法の教育DVDの制作、ワークショップ、乗馬教室運営を担当する。
2014年 師の公認を得て日本初の女性殺陣師となる。
2015年 師より「邦史朗」の名を託され正式に独立。 殺陣師、武術家として創作演目・演武作品の発表、講演を続ける。
三味線(長唄・地唄)、箏、日本舞踊(花柳流)、バレエ、ジャズダンス、生け花(小原流)なども修め、そのスキルは、 唯一無二の女殺陣師の活動を支えている
■株式会社明道社
東京都小金井市東町4丁目16番24号
女邦史朗 山野亜紀の商標管理・マネジメントを担当
■SamuraiWoman 山野亜紀 Official Site
https://samurai-woman.com/
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