Anly、輝かしい生の実感を伝えたワンマンライブ「A.L.I.V.E」を振り返る

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2023年7月1日、Anlyのワンマンライブ「A.L.I.V.E」が東京・LINE CUBE SHIBUYAにて開催された。ライブの数日前に、Anly がTwitterで「バンド、ループペダル、弾き語り、今出来ること全部詰め込みます」と投稿していたように、この日のライブは、彼女がこれまでのキャリアを通して磨き上げてきた多彩な表現が詰まった一つの集大成とも言える一夜となった。


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今回のライブは、ギター、ベース、ドラム、キーボードのサポートメンバーを迎えたバンド編成で幕を開けた。オープニングナンバーは、5月にリリースしたばかりの新曲「TAKE OFF」だ。Anlyは、エッジの効いた強靭なバンドサウンドをしなやかに乗りこなしながら、伸びやかな歌声を力強くまっすぐ届けていく。ライブ幕開け直後から、その堂々たる存在感に息を呑んだ。続く「VOLTAGE」では、〈VOLTAGEを上げろ〉という彼女の力強い言葉に応えるように観客が高く手を上げ、「カラノココロ」では、「一緒に歌いましょう。」という呼びかけを受け、フロアからシンガロングが巻き起こる。まだ3曲目にもかかわらず、とてつもない一体感が会場全体に生まれていた。



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続けて、「心に虹をかけましょう。」という言葉を添えて披露されたのは、まさに雨上がりのライブ当日にぴったりな一曲「Rainbow」だ。Anlyは、ハンドマイクでステージ上を右へ左へと移動しつつ、手を振ったり手拍子を促したりしながらフロアと親密なコミュニケーションを重ねていく。続く6月リリースの最新曲「Round & Round」では、美麗なファルセットを織り交ぜながら〈Tu-tu tu tu tu〉と歌い、言葉にならない切実な想いを共有していく。後半に向けて熱量を高めていくバンドサウンドに負けない芯の強さを誇る彼女の歌声に改めて痺れた。


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ここでバンドメンバーが一度退場して、ループペダルを駆使した一人パフォーマンスのコーナーへ。「足元が見たい。」というファンから寄せられたリクエストに応える形で、ループペダルをさばく足元を映すビジョンが登場し、フロアから大きな歓声が上がる。そして、「助手席に座って聴いてもらえれば。」と着席を促し、車の中の恋愛模様を描いた「Moonlight」へ。アコースティックギターのコード弾き、アルペジオ、高音フレーズ、そして、ボディを叩くスラム奏法によって鳴らされるパーカッシブなサウンドを一つずつ録音した上で、華麗なペダルさばきによってリアルタイムでトラックを生み出し、その上に彼女のメロウな歌声が重なっていく。たった一人の手によって成り立っているとは思えないほどの豊かさと迫力に満ちたパフォーマンスに何度も圧倒された。「SLEEP」では、音数を絞ったループトラックによって、彼女の細やかな息づかいを含めた繊細な歌唱表現が浮き彫りになり、「IDENTITY」における弾き語りパートと躍動的なロックアンサンブルのパートのコントラストの鮮やかさにも胸を打たれた。


「皆さん、よく（足元を）見えましたか？」「楽しんで頂けましたか？」と観客に問いかけつつ、続いて、弾き語りで「愛情不足 feat. Rude-α」へ。「数分間だけ、心から自分のことを抱きしめてあげてほしい。」という言葉と相まって、彼女の優しい歌声が深く心に沁み入る。ループペダルを駆使して自らのコーラスを幾重にも重ねていくことで深淵な世界を描き出していく「Venus」も素晴らしかった。




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ここで再びバンドメンバーをステージに迎え入れ、いよいよライブはクライマックスへ。「Angel voice」では、荘厳で神秘的なシンフォニックサウンドに乗せて、まさに天使のような清廉な歌声を届け、「ここが時代の最先端でしょ！」「時代がこれからついてくるよ！」と力強い言葉と共に披露した「KAKKOII」では、自ら両手をバウンスさせながら観客と熱烈なコミュニケーションを繰り広げていく。疾走感に満ちた直球のロックナンバー「CRAZY WORLD」では、轟音のバンドサウンドに負けない力強い歌声を通して鮮烈なロックバイブスを共有し、一転して、カラフルなポップチューン「Not Alone」では、両手で手拍子を煽りながらチアフルなムードを作り上げていく。〈朝日が昇るまで〉に続く歌詞を〈渋谷で〉と替えて歌う一幕もあり、会場の一体感と高揚感がさらに一段と高まる。重厚な4つ打ちのビートに乗せて、その曲名のとおり力強いメッセージを歌い届けた「We'll Never Die」も圧巻だった。


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本編ラストの曲は、高校生の時からお世話になっている事務所の社長の母親からインスピレーションを受けて制作した楽曲「Alive」だ。Anlyは、「今日は皆さん、来てくれてありがとう。」「Aliveしてくれてありがとう。」と伝えた上で、コロナ禍において自分自身の背中を押してくれたというこの曲を歌い始めた。どんなに大変な日々が続いたとしても、生きていれば幸せを感じられることがある。諦めない限り、人生は続いていく。果てしない生命力を体全体で体現するような渾身のパフォーマンスを通して、輝かしい生の実感が伝わってくるようなとても感動的な名演であった。


アンコールで再びステージに登場した彼女は、「しみじみとしたこと言っていい？」と前置きした上で、「健康で今日を迎えられてよかった。」「健康でいてくれてありがとう。」と伝え、改めて、生の実感を観客とお互いに確かめ合った。そして、イスにこしかけながらキーボードの伴奏に合わせて歌い届けた「星瞬～Star Wink」を披露した後、秋から冬にかけて「Anly 2023-2024 Tour」を開催することを発表した。このツアーは彼女の故郷である沖縄公演から幕を開けることを伝えた上で、最後の一曲として、故郷への切実な想いを込めた「Welcome to my island」を歌い届ける。全てのエネルギーを余すことなく伝えるような全身全霊のパフォーマンスをもって、この日のライブは鮮やかな大団円を迎えた。Anlyは、「今日は本当にありがとうございました！」「Still Aliveだよ、またね！」と伝え、ステージを去っていった。彼女が今回のライブ全編を通して届けてくれた生の輝かしい実感を伝える歌と音、その鮮烈な余韻が、ライブが終わった後もいつまでも胸の中に残り続けている。
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