3月29日「富岳」成果創出加速プログラム シンポジウム「富岳百景」開催

プレスリリース発表元企業:一般財団法人高度情報科学技術研究機構

配信日時: 2022-03-18 12:51:56

シンポジウム開催を前に3月14日(月)15日(火)の2日間に渡って研究交流会を実施



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スーパーコンピュータ「富岳」は、2021年3月9日(火)に本格運用を開始し、約1年が経ちました。この度、文部科学省及び高度情報科学技術研究機構(理事長 田島 保英)では、「富岳」成果創出加速プログラムについて概要と成果をわかりやすく発表する一般向けのシンポジウム「富岳百景」を、2022年3月29日(火)にオンラインにて開催いたします。

今回、シンポジウム開催を前に、3月14日(月)15日(火)の2日間に渡り、研究者向けの研究交流会を開催しました。本研究交流会は、スーパーコンピュータ「富岳」を先行して利用し、研究を進めているスーパーコンピュータ「富岳」成果創出加速プログラムに参加している研究者の皆様を中心に、一般課題の研究者や学生の皆様を対象に開催しました。交流会の最後には、次世代研究者賞 授与式及び受賞記念講演が行われ、2名が受賞いたしました。

(受賞者)
タイトル:スーパーコンピューターを活用した全ゲノムシーケンスに基づくがんゲノム医療の現場
東京医科歯科大学 M&Dデータ科学センター 統合解析分野/
東京大学医科学研究所 造血病態制御学分野 小川 弥穂 氏

タイトル:高忠実LESを実現する圧縮性流体解析手法 ~航空機離着陸形態まわりLES~
東北大学 工学研究科 航空宇宙工学専攻 淺田 啓幸氏

いよいよ3月29日(火)に迫った「富岳」成果創出加速プログラム シンポジウム「富岳百景」。当日披露される「防災・減災」、「ライフ」、「材料」、「ものづくり」、「宇宙・素粒子」の5つのカテゴリーにおいて「富岳」を用いて生み出された研究成果をご紹介します。世界最高水準のスーパーコンピュータを用いた、安全・安心な社会の実現や生命・宇宙の謎の解明などに挑む科学者たちの挑戦をぜひご覧ください。

「富岳」共用開始一周年記念イベント開催情報
■シンポジウム(一般の皆様向け)
開催名称:「富岳」成果創出加速プログラム シンポジウム「富岳百景」
開催日時:2022年3月29日(火) 10:00~17:05
開催場所:完全オンライン
開催内容:講演・ポスター展示
対象:一般の皆様
目的:「富岳」成果創出加速プログラムの成果発信
一般申込:https://fugaku100kei.jp/events/kasoku/2021/

開催概要
スーパーコンピュータ「富岳」成果創出加速プログラムは、「富岳」を用いた成果を早期に創出することを目的として文部科学省が実施しているプログラムです。(1)人類の普遍的課題への挑戦と未来開拓、(2)国民の生命・財産を守る取組の強化、(3)産業競争力の強化、(4)研究基盤の4領域について課題の選定が行われ、現在22の課題が選定されています。

シンポジウム当日は、「防災・減災」、「ライフ」、「材料」、「ものづくり」、「宇宙・素粒子」の5つのカテゴリーで、「富岳」を用いて生み出された研究成果をご紹介します。はじめての方にもわかりやすい講演となっています。この機会に、世界最高水準のスーパーコンピュータを用いた、安全・安心な社会の実現や生命・宇宙の謎の解明などに挑む科学者たちの挑戦をぜひご覧ください。また、一般の方に向けたポスターの展示も行います。皆様の参加を心よりお待ちしております。

スーパーコンピュータ「富岳」とは
スーパーコンピュータ「京」の後継機として理化学研究所と富士通が共同で開発・整備した計算機。社会的・科学的課題の解決で日本の成長に貢献し、世界をリードする成果を生み出すことを目的とし、電力性能、計算性能、ユーザーの利便性・使い勝手の良さ、画期的な成果創出、ビッグデータやAIの加速機能の総合力において世界最高レベルのスーパーコンピュータです。
15万8976個の中央演算装置(CPU)を搭載し、1秒間に約44京2010兆回の計算が可能。2020年6月、11月、2021年6月、11月に世界のスパコンランキング「TOP500」「HPCG」「HPL-AI」「Graph500」で4期連続の世界一位を獲得しました。

<イベントに関する問い合わせ先>
シンポジウム「富岳百景」事務局
E-mail kasoku@operation-desk.jp
お問合せ時間:土・日・祝祭日を除く10:00~17:00

プログラム紹介 3/29(火) 公開シンポジウム
セッション1 : 防災・減災(13:00-13:55)
講演1:台風・線状降水帯の新時代の数値予測
佐藤 正樹(東京大学 大気海洋研究所 教授)
近年、台風や豪雨などの異常気象が激甚化しています。我々は、災害の原因となる異常気象からの防災・減災を実現するために、スーパーコンピュータ「富岳」を用いて、数日から数週間、季節スケールの大規模な気象・大気環境予測のアンサンブル実験を行っています。積乱雲やメソスケール対流系を大規模なアンサンブルで表現する高解像度シミュレーションを行います。また、高度な同化手法を開発し、IO接続を強化した観測ビッグデータと組み合わせています。例として、2020年7月に九州で災害を引き起こした線状降水帯や、2019年9月に関東圏に災害をもたらした房総半島台風について、アンサンブル数1,000のシミュレーション研究を紹介します。本課題の遂行により、確率情報を用いた高解像度の数値気象予測を可能にする、新時代の革新的な数値気象・大気環境予測技術を実現します。
講演2:地震を知って震災に備えるために「富岳」を活かす
堀 高峰(海洋研究開発機構 海域地震火山部門 地震津波予測研究開発センター センター長)
震災に備えるためには、まず「揺れ」に備えることが第一です。「揺れ」の段階で、怪我をしたり部屋に閉じ込められたりしてしまっては避難もできません。大地震による「揺れ」に備えるには、地下にある数百km x 数百kmの震源断層でどのように地震が起き、どのように地震波が伝わってきて、どのように地盤が揺れるのか、そこで地下や地上の構造物がどのように揺れるのかを知る必要があります。「富岳」を使うことで、地下の震源断層での動きから、地震波が地下を伝わって地上の構造物までを揺らすまでを一気に計算することができるようになりました。また、高層ビルの揺れ方に影響する長周期地震動の評価にも、「富岳」が活用されています。

セッション2 : ライフ(13:55-14:50)
講演3:スパコン「富岳」で脳をつくる
山崎 匡(電気通信大学 大学院情報理工学研究科 情報・ネットワーク工学専攻 准教授)
脳は呼吸や心拍の制御といった生命維持機能から、意識や思考といったいわゆる高次脳機能までを担っています。
脳の機能がどのようにして実現されているのかは未だに完全には解明されていませんが、それと比べると脳の構造は良くわかっています。脳は、ニューロンと呼ばれる神経細胞がシナプスと呼ばれる構造を介して結合したネットワークであり、その上でスパイクと呼ばれる電気パルスを交換することで情報処理を行っています。個々のニューロンの挙動は数式で記述できるので、それをスパコンを用いて解くことで、脳の神経活動を再現し、予測することが可能になります。本発表では、我々が取り組んでいる非常に大規模な脳神経回路シミュレーションについて紹介します。
講演4:がんのはじまりを探る -クローン性造血と白血病-
小川 誠司(京都大学 医学研究科 腫瘍生物学講座 教授/カロリンスカ研究所 分子血液学 ( 客員 ))
がんが日本人の死因のトップとなって久しい。がんはそもそも高齢者の病気であることから、今後我が国が高度の高齢社会を迎えるにあたって、ますますがんの克服が、医療・医学の重要な課題となることは明らかです。一方、現在多くのがんには有効な治療法が見いだせておらず、がんを未病のうちに治療ないし予防することが重要ながん治療戦略の一つとなります。この観点から、近年、がんの起源に関わる研究分野で、多くの重要な知見が得られつつあります。これらの研究成果は、大量の正常組織のシーケンスを通じてもたらされた結果であるが、このような大量のシーケンスデータの解析にはスパコンを用いた大規模コンピューティングが必要不可欠となっています。我々は、現在、富岳等の計算リソースを駆使して、がんの始まりの理解を目指した研究を展開しているが、本講演では、現在までに得られたいくつかの興味深い知見を紹介します。

セッション3 : 材料(14:50-15:25)
講演5:次世代EV開発に向けたバッテリーマテリアル研究on「富岳」
館山 佳尚(物質・材料研究機構 エネルギー・環境材料研究拠点 副拠点長)
脱炭素社会に向けて電気自動車(EV)の開発競争が世界的に激化しています。その核となるのが”バッテリーマテリアル(蓄電池材料)”の開拓です。バッテリーを構成する正極・電解質・負極物質(欠陥・不純物も考慮した膨大なパターンが存在)及びそれらが接触する複雑な界面を含むマテリアル内の「電子」と「イオン」の動きの制御が鍵となります。私たちは、量子力学・統計力学に基づく複雑な理論式を、機械学習技術とも連携しながら、「富岳」上で計算することによって、これまでの計算(および実験)では得られなかった様々な新しい機構・材料を見出しつつあります。これらの最新”バッテリーマテリアル”計算研究について紹介します。

セッション4 : ものづくり(15:45-16:20)
講演:6スパコン「富岳」で航空機の「ながれ」を科学する
~次世代のシミュレーション科学と航空機開発~
河合 宗司(東北大学大学院工学研究科 航空宇宙工学専攻 教授)
「ながれ」は目に見えないことが多いですが、私たちの生活の至る所に存在し、かつ利用されています。航空機もまさにこの「ながれ」を利用して飛んでいます。この「ながれ」を扱う学問を流体力学と言い、私たちの研究分野になります。本講演ではこの「ながれ(流体力学)」を科学する(知る)ためのシミュレーション研究の最前線や、スーパーコンピュータ「富岳」を用いた航空機周りの今までにない次世代の「ながれ」解析に関する最新の研究成果、またこれらのシミュレーション研究が今後の航空機開発に与える影響やその将来展望を紹介したいと思います。

セッション5 : 宇宙・素粒子(16:20-16:55)
講演7:「富岳」で太陽の中身を知る
堀田 英之(千葉大学 理学研究院 宇宙物理学研究室 准教授)
みなさんに馴染み深い太陽ですが、未だ多くの謎に包まれています。太陽の中は、非常に高度な乱れた流れ・乱流に埋め尽くされていて、太陽の活動性はこの乱流によって維持されています。しかし、その巨大なサイズにより、太陽の乱流の全容をつかむことは容易ではありません。太陽の中身はいかなる光を用いても見通せないために数値シミュレーションを用いた研究が主となります。我々は、太陽の状況をスーパーコンピュータ上に再現することによって、できる限り正確に太陽の中身を理解する取り組みをおこなっています。特に「富岳」を用いた超高解像度計算では、これまでの理解を大きく変えるような結果が得られ、観測される大きな流れが再現できるようになってきています。講演では、「富岳」を用いた我々の取り組み、最新の太陽の姿を紹介します。

タイムテーブル 3/29(火) 公開シンポジウム

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