SpaceXAI、Grok基盤にNVIDIA「Vera」採用へ―軌道上AI衛星Starmindにも共通アーキテクチャ

2026年8月26日 16:43

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記事提供元:Tech Times

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NVIDIAは2026年8月24日、SpaceXAIが次世代のエージェント型AIアプリケーションに「NVIDIA Vera CPU」を導入すると発表した。Grokを支える地上のAIインフラをVera Rubinプラットフォームで拡張するとともに、初代の軌道上AI衛星「Starmind」を、宇宙向けに最適化したVera Rubin NVL72システムを基礎に開発する計画だ。

イーロン・マスク氏は同日、SpaceXとNVIDIAが設計した宇宙向けシステムについて、2027年第4四半期の軌道投入と2028年の規模拡大を目標に掲げた。もっとも、NVIDIAの発表には打ち上げ時期、衛星数、軌道上システムの処理能力などは記載されておらず、2027年第4四半期という日程はマスク氏が示した目標である。

■Grok基盤にVera CPUを導入

NVIDIAによると、SpaceXAIは次世代のエージェント型AIアプリケーションで発生するCPU負荷の高い処理を高速化するため、Vera CPUを導入する。コード実行、データ処理、ツールの操作、シミュレーション、モデル呼び出し間のオーケストレーションなどをCPUが担い、GPUを推論や学習処理へ継続的に利用できる状態を目指す。

AIエージェントは、言語モデルから回答を生成するだけではない。タスクを計画し、会話履歴や外部データからコンテキストを組み立て、コードや外部ツールを実行し、その結果を解析して次のモデル呼び出しを決定する。これらの工程には、分岐の多い逐次処理や不規則なメモリアクセスが含まれ、ホストCPUの性能がエージェント全体の応答時間や処理量を左右する。

NVIDIAの技術チームが16万3,000件を超えるエージェントセッションを分析したところ、97%を超えるセッションで固有の実行プロファイルが確認されたという。処理内容がセッションごとに大きく異なるため、一律の構成でCPU資源を割り当てる従来型の運用では、需要の変動に対応しにくいと同社は説明している。

■88基のOlympusコアと高帯域幅メモリ

Vera CPUは、NVIDIAが設計した88基のOlympusコアと、1コアで2スレッドを扱うSpatial Multithreading技術を搭載する。LPDDR5Xメモリの帯域幅は最大1.2TB/sで、コード実行、データ処理、サンドボックス、分析、オーケストレーションなど、AIモデルの周辺で動く処理を主な対象としている。

NVIDIAは、エージェント型AI、強化学習、データ処理を含む同社の測定環境において、Veraがx86 CPUより最大1.8倍速くタスクを完了したとしている。この数値はNVIDIAが示した比較結果であり、実際の性能差はワークロードや比較対象、システム構成によって変わる。

SpaceXAIプレジデントのマイク・ニコルズ氏は、VeraのCPU性能とメモリ帯域によって、大量のオーケストレーション、コード実行、データ処理を進めながら、GPUを本来の計算処理へ振り向けられると説明した。電力当たりに処理できる仕事を増やし、AIエージェントの性能向上につなげる考えだ。

■地上と軌道でVera Rubin系の基盤を共有

SpaceXAIは、地上ではGrokを支えるAIインフラをVera Rubinプラットフォームで拡張し、軌道上では初代Starmind衛星を最適化版Vera Rubin NVL72システムを基礎に開発する。CPU、GPU、ネットワーク、ソフトウェアを含む共通の技術基盤を、地上のAIファクトリーと軌道上の計算システムへ展開する構想である。

地上版のVera Rubin NVL72は、72基のRubin GPUと36基のVera CPUをラック規模で統合するシステムだ。ただし、Starmindに搭載されるシステムについて、GPUとCPUの搭載数、消費電力、重量、動作性能などの最終仕様は公表されていない。「Vera Rubin NVL72を基礎にする」という発表は、地上用ラックを変更せず、そのまま衛星へ搭載することを意味するものではない。

マスク氏は、宇宙向けの設計について、従来型ラックよりも簡素で、低コスト、高密度かつ軽量になるとの見方を示した。軌道上では電力供給、熱管理、通信帯域、放射線への耐性、打ち上げ時の振動、故障後に現場で部品を交換できないことなど、地上のデータセンターとは異なる条件への対応が必要になる。

■エージェント型AIと軌道上処理の接点

軌道上のAIシステムでは、衛星間で頻繁な同期を必要とする大規模な分散学習よりも、衛星内で完結しやすい推論やデータ処理との相性が注目される。地球観測データを衛星内で選別・解析したり、搭載機器の動作を自律的に調整したりする処理は、データをすべて地上へ送ってから処理する構成に比べ、通信量を減らせる可能性がある。

この構造では、GPUがAIモデルの推論を担い、CPUがデータの準備、コード実行、ツール制御、処理順序の決定などを担当する。地上のAIエージェントで重視される「モデル呼び出しの間に何を処理するか」という設計を、衛星内の自律的な処理へ応用する発想である。

一方、現代の大規模AI学習では、複数のGPU間で計算結果を高頻度に同期する処理が使われる。衛星間では地上のデータセンターと同等の低遅延接続を構築できないため、Starmindの用途や商業性を見極めるうえでは、衛星単体で完結する処理と、複数衛星をまたぐ処理を区別する必要がある。

■2027年第4四半期はマスク氏が示した目標

マスク氏は、宇宙向けに最適化したVera Rubin NVL72システムを2027年第4四半期に軌道へ投入し、2028年に「相当な規模」へ拡大する目標を示した。ただし、2028年の衛星数や計算能力、打ち上げ回数などの具体的な規模は示していない。

NVIDIAの公式発表が確認しているのは、SpaceXAIがVera CPUを導入すること、GrokのインフラをVera Rubinで拡張すること、初代Starmind衛星が最適化版Vera Rubin NVL72を基礎にすることだ。同社の発表には、Vera CPUの導入数、契約額、地上システムの稼働開始日、Starmindの打ち上げ日や軌道上での処理能力は記載されていない。

軌道上システムの実現には、計算機器だけでなく、太陽電池による電力供給、真空中で熱を宇宙へ放出する熱制御、放射線の影響を考慮した信頼性設計、打ち上げ時の振動への対応、衛星と地上を結ぶ通信経路などを一体として成立させる必要がある。SpaceXとNVIDIAは、宇宙向けVera Rubinシステムの詳細な構成や環境試験結果を公表していない。

■地上での採用と軌道上システムを分けて見る

今回の発表には、地上のGrok基盤におけるVera CPUの導入と、最適化版Vera Rubin NVL72を基礎にしたStarmindの開発という二つの計画が含まれる。共通するのはVera Rubin系のCPU、GPU、ネットワーク、ソフトウェアを利用する方針だが、地上でのCPU導入が軌道上システムの完成や性能を直接裏付けるわけではない。

地上では、エージェント型AIが実行するコード処理やデータ処理をVeraへ移し、GPUの稼働率とシステム全体の処理効率を高めることが主眼となる。軌道上では、そのコンピューティング基盤を衛星固有の電力、熱、重量、通信、信頼性の制約に合わせて再設計することが中心となる。

地上と宇宙で共通のアーキテクチャを採用すれば、開発環境やソフトウェア資産を共有しやすくなる可能性がある。一方、どの程度のソフトウェアを変更せずに移行できるかは、軌道上システムの最終構成や運用方法が公表されるまで判断できない。

■注目ポイントQ&A

●エージェント型AIでは、なぜCPUの性能が重要になるのですか?

AIエージェントはモデルによる推論だけでなく、タスクの計画、データ検索、コード実行、外部ツールの操作、結果の解析、次に行う処理の決定も繰り返します。これらの処理の多くをCPUが担うため、CPU側に遅延があると、GPUが次の処理を開始するまで待つ時間が増えます。

●Vera CPUにはどのような特徴がありますか?

NVIDIAが設計した88基のOlympusコア、Spatial Multithreading技術、高帯域幅のLPDDR5Xメモリを搭載しています。コード実行、データ処理、サンドボックス、ツール操作、オーケストレーションなど、AIモデルの周辺で発生するCPU負荷の高い処理を主な対象としています。

●地上のGrok基盤とStarmindは同じシステムなのですか?

共通するVera Rubin系のアーキテクチャを利用する計画ですが、同一のシステムではありません。地上ではVera CPUとVera RubinプラットフォームをAIインフラへ導入し、Starmindでは宇宙向けに最適化したVera Rubin NVL72システムを基礎に衛星を開発します。軌道上システムの最終的な構成は公表されていません。

●Starmindは大規模AIモデルを軌道上で分散学習させるシステムですか?

NVIDIAの発表は、Starmindを大規模分散学習システムとは位置づけていません。公式に確認できるのは、初代衛星が最適化版Vera Rubin NVL72を基礎にするという計画です。具体的な用途、衛星間の処理分担、学習と推論の比率などは明らかにされていません。

●2027年第4四半期の打ち上げは正式に決まっているのですか?

2027年第4四半期はマスク氏が示した目標です。NVIDIAの公式発表には打ち上げ時期が記載されておらず、確定した打ち上げ日、使用するロケット、衛星数、軌道なども公表されていません。

元記事: Nvidia Vera CPU Powers Grok Agents Now, Starmind Orbit in Q4 2027: One Architecture

※この記事はTech Timesから提供を受けた記事を日本向けに翻訳・編集したものです。

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