ウォーシュ次期FRB議長、AIデフレ論で利下げ期待も長期金利上昇リスク

2026年5月19日 13:57

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 次期FRB(米連邦準備制度理事会)議長のケビン・ウォーシュ氏に対し、市場関係者の注目が高まっている。ウォーシュ氏は「AIによる生産性向上が将来的なインフレ抑制につながる」との見方を示しており、米ハイテク株には追い風との期待が広がる一方、インフレ再燃や長期金利上昇への警戒感も強まっている。

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 ウォーシュ氏は、元モルガン・スタンレー幹部で、2006年から2011年までFRB理事を務めた。リーマン・ショック時の金融危機対応にも関与した経歴を持ち、市場との距離が近い人物として知られる。

 ただ同氏は、以前からFRBによる大規模金融緩和に批判的な立場を取っており、「FRBは市場介入を拡大しすぎた」との考えを繰り返し示してきた。

■AIによる「デフレ圧力」を重視
 ウォーシュ氏の金融政策観で特に注目されているのが、「AIによる生産性革命」への期待だ。同氏は近年、「AIは構造的なデフレ圧力になり得る」との見解を示しており、AI導入による業務効率化や自動化が進むことで、企業コスト低下と生産性向上が同時に起き、中長期的にインフレ圧力を抑制するとみている。

 この考え方が市場に浸透すれば、FRBは従来より早いタイミングで利下げへ動きやすくなる可能性がある。特に半導体やAIソフトウェア関連企業など、高PERの成長株には追い風との見方が出ており、NASDAQやAI関連銘柄への資金流入期待も高まっている。

■長期金利上昇リスクも
 一方で、債券市場では警戒感も根強い。ウォーシュ氏はFRBのバランスシート縮小を重視しており、量的緩和や国債買い入れへの依存を減らすべきとの立場を取っているためだ。

 現在の米国では、財政赤字拡大に伴う国債発行増加が続いている。こうした中でFRBによる国債購入支援が弱まれば、市場がより多くの国債を吸収する必要が生じ、10年債利回りなど長期金利の上昇圧力が強まる可能性がある。

 その結果、政策金利は低下しても長期金利は上昇する「スティープ化」が進むとの見方もあり、高PER銘柄には再び逆風となる可能性も指摘されている。

■市場との対話姿勢にも変化か
 もう一つ市場が注目しているのが、FRBの情報発信姿勢だ。現在のFRBは、政策見通しを事前に市場へ丁寧に伝える「フォワードガイダンス」を重視しているが、ウォーシュ氏はこうした過度な市場対話に否定的な考えを持つとされる。

 そのため、市場では「FRBの予測可能性が低下し、相場変動率が高まる可能性がある」との見方も出ている。

 特にAI関連株やハイテク株主導の相場では、金融政策への不透明感がボラティリティ拡大につながりやすく、市場関係者の間では「短期的には強気材料だが、中長期では相場変動を大きくする人物」との評価が広がっている。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る

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