金・銀価格が急落 FRB人事で調整局面入り

2026年2月3日 17:21

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 金価格や銀価格が大幅に下落し、急上昇が続いていた貴金属市場に急ブレーキがかかった。短期間で価格が上昇していた反動もあり、市場ではリスク回避的な売りが連鎖し、調整の動きが一気に強まった。

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 今回の下落の背景には、次期FRB議長にケビン・ウォーシュ氏が就任するとの報道もある。市場では、金融引き締めに前向きな人物がトップに就くとの見方から、インフレ抑制姿勢が強まるとの警戒感が急速に高まった。

■急騰後の市場に利益確定売りが集中

 足元では、インフレ懸念や地政学リスクを背景に、金価格や銀価格は急ピッチで上昇していた。

 投機的な資金も多く流入しており、FRB人事という材料をきっかけに、利益確定売りが一斉に出やすい地合いにあったことから、価格は短期間で大幅な調整局面に入った。

■ウォーシュ氏の実像は想定よりハト派寄り

 もっとも、ウォーシュ氏は過去にタカ派的な発言や考えを示してきたものの、近年はスタンスに変化が見られる。不動産市場をはじめとした景気下支えを重視し、利下げに積極的な姿勢を示している点が特徴だ。

 一方で、金融緩和一辺倒ではなく、FRBのバランスシート縮小を通じてインフレを抑制すべきだと訴えている。政策金利の引き下げと資産圧縮を組み合わせることで、景気と物価のバランスを取る考え方と言える。

 こうした姿勢を踏まえると、市場が警戒するほど強硬なタカ派ではなく、想定よりもハト派寄りの人物と受け止める見方も広がっている。今回の市場反応は、人物像への先入観が先行した面が大きい可能性がある。

■中長期ではインフレ環境に大きな変化なし

 今回の急落は、金融政策の大転換を示すものというより、過度に上昇していた価格水準を調整するための「きっかけ」として材料視された側面が大きい。インフレ環境自体に大きな変化はなく、各国の財政拡張姿勢や地政学リスク、供給制約といった構造的要因も解消されていない。

 実質金利が大きく上昇しにくい状況が続く中、インフレヘッジとしてのコモディティ投資への需要が急速に後退するとは考えにくい。金や銀をはじめとするコモディティ市場は、過熱感が一服した後、再び上昇基調を模索する展開が想定される。

 今回の下落は悲観すべき材料ではなく、中長期トレンドの中での健全な調整局面と位置付けられる。今後は過度な値動きに振り回されず、相場の本質を冷静に見極める局面に入ったと言えそうだ。(記事:Osaka Okay・記事一覧を見る

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