クォンタム・ファンドで日本株運用を手掛けた:塩住秀夫氏が、PPIHを見抜いた2つの理由

2025年10月1日 14:08

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 パン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(7532、PPIH、東証プライム市場)。源流の「ドン・キホーテ」第1号店(東京府中店)が設立されたのは、1989年(上場1996年12月)。以来、前2025年6月期まで35期連続の増収・増益。

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 今期も「3.6%増収(2兆3270億円)、4.7%営業増益(1700億円)」計画。25年10月に1対5の株式分割と株主対応に前向き姿勢を示し続けている。

 そうした姿勢は過去9年9カ月余の修正済み株価パフォーマンス:23.68倍にも明らか。本稿作成中の株価は年初来高値(8月19日)5697円から10%強下値にあるが、IFIS目標平均株価は算出者の12人中7人が強気の、5827円。投資判断の有無は各位にお任せするが、過去の事実から考えると「資産形成株」の価値十分。

 ドン・キホーテではいま、問題の?米を扱っている。PPIHを担当するアナリストから、こんな話を聞いた。

 「吉田直樹(前)社長名義で、小泉進次郎農水大臣に意見書を5月28日に提出した」。「JAグループと取引する1次問屋は実質、特約店。新規参入できない。かつ最大5次問屋まで存在する(流通の)構造では、多重マージンが発生する。市場競争が生まれない構造に高騰の要因がある」。

 吉田氏は2019年以来PPIHを引っ張った御仁。創業者:安田隆夫氏の薫陶を受けえて育った御仁。この報に接した折り、久方ぶりに安田氏の過去ともう一方の顔を思い出した。

 安田氏は76歳。PPIHのホームページの「創業者」の項があり、クリックすると安田氏の緒論が目にとまった。「円安を逆にメリットに転化できる企業グループだと自負している(安田氏はいま、海外部門のトップ)」とし、こう展望している。

 「日本産の食材輸出も、円安効果を享受できる部門。政府も2030年に輸出額を5兆円(21年に1兆円を突破した)に引き上げる計画を掲げているが、第二の自動車産業になる可能性を孕んでいる」。相変わらずの論客である。

 もう一方は78歳までファンドマネージャーを務めた、兜町のレジェンド:塩住秀夫氏。ジョージ・ソロスに請われクォンタム・ファンドの日本株運用を任された御仁だ。

 塩住氏は「ドン・キホーテの株を上場間もない時期に取得、儲けさせてもらった」という。そしてその根拠を「成長株を教えてくれる指標:PEGレシオ」と教えてくれた。「PER÷数期間のEPSの平均成長」で算出。「0.5以下なら買い」だと話してくれた。

 ドン・キホーテもPEGレシオで投資した銘柄。ただ塩住氏は「と並行して、経営者が大事」と付け加え「安田さんとは二度ほどあったかな」とした。(記事:千葉明・記事一覧を見る

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