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相模ゴムは社会構造の変化:少子セックスレス化に真に対応できるのか
相模ゴム工業(5194、東証スタンダード市場)。コンドーム大手。コンドームと縁がなくなり数年来、相模ゴムを覗き込むはなかった。今回、久方ぶりにとなったのは、生活品の市場規模をチェックしたのがキッカケだった。こんなデータに出会った。
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『世界のコンドーム市場は、2021年で94億1000万米ドル。2031年までに204億3000万米ドルに達すると推定されている。23年から31年の間でCAGRで8.02%の増加が見込まれる。背景には各国政府の性感染症の蔓延を減らす取り組みや、広範な性教育プログラムを通じた意識の高まりがある』。確かに、1500年代後半以降、コンドームは性感染症の予防法として使用・認識されてきた。
そんな市場データを確認し「相模ゴムの収益は堅調だろうな」と思い、収益動向を見やった。思わず???
覗き込むことが疎遠になってから2021年3月期以降、売上高はほぼ横ばいだったが(営業)利益は明らかな「右肩下がり」になっていた。11億7100万円が24年3月期には4億3600万円、そして前25年3月期は3300万円の赤字に転じている。
ただ手元の四季報は今3月期の業績欄の見出しを【黒字復帰】としている。具体的に今期の会社予想では「2億4000万円」の営業利益を計画している。そして至29年3月期の中計は「売上高:80億円(今期計画61億円)、営業利益:10億円(2億4000万円)」を掲げている。
どう理解すればよいのか。中計で掲げる方向性に、その答えは求めることができた。
「少子高齢化/セックスレス化」。見解は分かれるかもしれないが元国際日本学部教授で現明大名誉教授の鹿島茂氏が、こんな見解を公にしている。
「最近の少子化の要因としセックスレス化が問題視されている。キーワードは、面倒くさい・・・バーチャルセックス・・・オタク文化が隆盛し・・・草食系といわれる男子や男より仕事に夢中になる女性が増えていく・・・」。
今回、コンドームを入り口に多面的に取材をしていくと国立社会保障・人口問題研究所の次のような実地調査に出会った。「18歳から34歳の未婚者で、性経験がないと回答した人の割合は男性36.2:%/38.7%という結果が出ている」
こんな見方に接しているうちに、相模ゴムの打開策「薄さ0.01mm、ウレタンコンドーム市場に集中投資をする」にいささか首を捻った。ことは社会構造問題。果たして突破口になるのか・・・と。
相模ゴムの時価は930円水準。予想PER206.51倍。依然割高だよ、いうことか。(記事:千葉明・記事一覧を見る)
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