関連記事
オルカン最高値更新の功罪
●オルカンが過去最高値
投資初心者に人気のeMaxim slim 全世界株式(通称:オルカン)の基準価格が、1月に付けた価格を更新し、過去最高値になった。
【こちらも】エヌビディアの時価総額が世界初の4兆ドル突破! 快進撃はどこまで続く?
純資産総額も6兆円を突破しており、国内の公募株式投信(ETF除く)ではeMaxim slim 米国株式(S&P500)に次いで2位となっている。歴代で見ても、2位だったグローバル・ロブリン・オープン毎月分配型(通称:グロソブ)を抜いた。
トランプ関税の世界同時株安を乗り越えたことも、最高値更新の大きな要因となっている。
新NISAの象徴とも言えるオルカン人気だが、今後も株式市場の活性化に貢献するのか?
●オルカンとは?
eMaxim slim 全世界株式(オルカン)は、三菱UFJアセットマネジメントが運用するインデックスファンドである。日本を含む先進国23カ国と新興国24カ国の株式市場全体に投資する。
購入時手数料は無料で、信託報酬が低いなど、低コスト・低リスクで運用できるのが特徴。
新NISAのつみたて投資枠・成長投資枠の両方で投資が可能である。
全世界に分散投資ができるが、米国株式に60%と片寄っていることや、株式100%で運用されていることから、必ずしも低リスクでは無いことが指摘されている。
●オルカンの功罪
オルカンは投資初心者にはわかりやすく、長期分散投資としては適している。知識と経験のないまま個別株に投資して大損するというリスクを減らせる。
ただ新NISAが始まったころから指摘されているが、個人投資家が日本円を売って外貨建て資産を買う動き、いわゆる「家計の円売り」により円安要因となっている。
純資産総額1位がeMaxim slim 米国株式(S&P500)で、オルカンも米国株式が6割(2位が日本株約5%)を占めており、実質米国株投資に片寄っている。新NISAの分散投資の理念からは大きく逸脱し、本末転倒との指摘もある。
昨年8月7日には日銀利上げショックで、オルカンから約200億以上の流出があったが、投資初心者の動きが相場全体に悪影響を与えかねない。
オルカン投資は悪くは無いが、補完する投資も必要で、オルカンの比率を下げて新興国のインデックスファンドなどへの投資も促していくことが、「貯蓄から投資」には求められる。(記事:森泰隆・記事一覧を見る)
スポンサードリンク

